
議事録第166国会 参議院 財政金融委員会 第4号 平成19年3月15日(木曜日)本日の会議に付した案件
○委員長(家西悟君)平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。尾身財務大臣。 ○国務大臣(尾身幸次君)ただいま議題となりました平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 まず、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について御説明申し上げます。 平成十九年度予算においては、税収が増加する中においても徹底した歳出削減方針を貫き、多くの経費を平成十八年度当初予算より減額し、一般歳出の増加をできる限り抑制いたしました。 この結果、新規国債発行額について、平成十八年度当初予算に比べ過去最大の四兆五千四百十億円の減額を実現しましたが、我が国の財政状況は引き続き厳しい状況となっており、特例公債の発行等の措置を講ずることが必要であります。 本法律案は、厳しい財政事情の下、平成十九年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置及び年金事業等の事務費に係る負担の特例に関する措置を定めるものであります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、平成十九年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書の規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとするなどの特例措置を定めております。 第二に、平成十九年度において、国民年金事業、厚生年金保険事業及び国家公務員共済組合の事務の執行に要する費用に係る国等の負担を抑制するため、国民年金法、特別会計に関する法律及び国家公務員共済組合法の特例を設けることとしております。 次に、所得税法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。 政府は、現下の経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向け、減価償却制度、中小企業関係税制、住宅・土地税制、組織再編税制、信託税制、納税環境整備等につき所要の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、我が国経済の成長基盤を整備し、国際的なイコールフッティングを確保する観点から、減価償却制度の抜本的見直しに係る所要の改正を行うこととしております。 第二に、中小企業関係税制について、中小企業の財務基盤の強化を図るため、特定同族会社の留保金課税制度の適用対象から資本金一億円以下の中小法人を除外する等の見直しを行うこととしております。 第三に、住宅・土地税制について、税源移譲に伴い住宅ローン減税制度の政策効果の小さくなる中低所得者に配慮して、その控除期間の延長等の特例を創設するとともに、住宅のバリアフリー改修促進税制の創設等を行うこととしております。 第四に、組織再編税制について、会社法により三角合併が可能とされることに伴い、親法人株式を対価として交付する場合にも課税繰延べが認められるよう、 適格合併の要件を見直すこととしております。また、信託税制については、新信託法による新たな信託類型等に対応した税制を整備することとしております。 第五に、納税環境整備として、電子証明書を有する個人の電子申告に係る所得税の税額控除制度の創設等を行うこととしております。 その他、所得税の寄附金控除の控除対象限度額の引上げ、企業の子育て支援に係る特例の創設、移転価格税制に係る納税猶予制度の創設、上場株式等の配当等及び譲渡所得等に対する税率の特例の一年延長を行うこととしております。また、農用地利用集積準備金制度の廃止等既存の特別措置の整理合理化を図るとともに、住宅用家屋に係る所有権の移転登記に対する登録免許税の特例等の期限の到来する特別措置について、その適用期限を延長するなど所要の措置を講ずることとしております。 以上が、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(家西悟君)以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
■野上浩太郎自由民主党の野上浩太郎でございます。所信の質疑に続きまして、大変お疲れさまでございますが、早速二法案の質疑について入らせていただきたいと思います。 まずは、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案に関連しまして、基本的な財政運営についてお伺いをしたいと思います。 今年の一月に、安倍内閣においては初となります経済財政運営の中期方針の日本経済の進路と戦略が策定をされました。この中で、財政健全化の目標といたしまして、二〇一一年度には国、地方の基礎的財政収支を確実に黒字化させ、二〇一〇年代半ばにかけては債務残高GDP比の発散を止め、安定的に引き下げることを確保することとされています。 これまで、プライマリーバランスの黒字化の時期につきましては、平成十七年度の骨太の方針におきましては、本文で二〇一〇年代初頭と、参考資料においては二〇一二年という記述がありました。また、翌平成十八年の骨太の方針のときには、本文に二〇一一年という記述があったわけであります。 そして、今般、この中期方針に具体的な期限付きの目標というものが書かれているということは意義深いというふうに思うんですけれども、一方で、これは何ゆえに二〇一一年度なのかと、あるいは二〇一〇年代半ばなのかという、これを財政健全化の節目にしているのかと、この時期についての国民の理解が進んでいないところがあるんですね。 当然、少しでも早く前倒しにしてやるべきだという声もありますし、いや、二年や三年や五年ぐらいちょっと後ろ倒しになっても、ソフトランディングしてもいいんじゃないのという声もあったりするんですけれども、まずは二〇一一年と、あるいは二〇一〇年代半ばということを財政の健全化の節目としている意義につきまして、大臣に見解をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君)今後、二〇一〇年から一五年ころにかけまして、いわゆる団塊の世代を含めまして、これまで我が国の労働力人口の中核でありましたベビーブーム世代が基礎年金の受給者となるなど、高齢化が大きく進展すると見込まれております。 具体的には、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口によりますと、二〇〇六年の六十五歳以上の人口割合が二一%であるものが、二〇一五年には二七%まで上昇すると見込まれているわけでございます。これに伴いまして、社会保障関係経費は経済の伸びを上回って増大することが見込まれるわけでありますが、そうした中で社会保障制度の持続可能性を確保していくためには、これらの時期を一つの節目として財政の健全化を進めていくことは極めて重要であると考えております。 こうした点を踏まえまして、先般閣議決定されました日本経済の進路と戦略に示されているように、二〇一〇年代半ばにかけて安定的な経済成長を維持しつつ、債務残高のGDP比を安定的に引き下げることを確保することを目指し、まずは二〇一一年度までに、国、地方合計のプライマリーバランスを確実に黒字化することを目標に、財政健全化を着実に進めたいと考えている次第でございます。 ■野上浩太郎正にそのとおりだと思うんですが、私も、去年、財務省の政務官をやらせていただいて、財政健全化について携わらせていただいたんですけれども、感じるのは、やっぱり国民の皆さん、とかくこの財政健全化の目標というのは、ちょっと難しいというような感じがあって敬遠しがちな部分がありますので、大臣におかれましては、時をとらえて、国民の目線に立って、分かりやすい言葉で国民にこのことをしっかりと伝えていっていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。 さらに、プライマリーバランス黒字化についてでありますけれども、政府がこの二〇一一年度におけるプライマリーバランスの黒字化へ向けた確固たる姿勢を示すためには、今後の各年度において行う予定の施策についての工程表というものをやっぱり明示することが望ましいのではないかというふうに思います。 確かに、進路と戦略の策定の際には、内閣府の試算で二〇一一年までの日本の経済財政の姿が定量的に示されているところがありますし、財政の削減額につきましては、これは二〇〇六年度の骨太方針に示されているものが前提となっているわけでありますけれども、これは必ずしも具体的根拠が示されていない部分もあります。より具体的な工程表を示すことによってその決意というものをしっかりと示していくということが大事だと思いますが、大臣のその部分についての見解をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君)我が国の厳しい財政状況を踏まえますと、子供や孫の世代に負担を先送りしないためにも、安定的な経済成長を維持しつつ、先ほど申し上げましたように、二〇一〇年代半ばにかけて債務残高対GDP比を安定的に引き下げることを目指して、まずは二〇一一年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化する、そういう目標で歳入歳出一体改革を進めていきたいというふうに考えております。 さはさりながら、歳入改革一体化を進めるに当たりまして、非効率な歳出を放置したまま負担増を求めるということになれば国民の理解を得ることは困難でございまして、今後とも、歳出改革に引き続き取り組んでいく必要があります。この分野における歳出改革の具体的な取組の内容は基本方針二〇〇六に定められているとおりでございます。 また、今後とも増加する社会保障給付や少子化への対応等につきましては、国民が広く公平に負担を分かち合う観点に留意しつつ、基礎年金国庫負担割合の引上げのための財源も含め、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにする必要がございます。 このような考え方の下、七月ごろに判明する二〇〇六年度決算の状況や、医療制度改革を受けた社会保障給付の実績等を踏まえ、本年秋以降、税制改革の本格的、具体的な議論を行い、二〇〇七年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいりたいと思います。 先ほどのお話の工程表につきましては、今後、各年度において行っていくべき具体的な施策につきましては、基本方針二〇〇七等において可能な限り整備していくこととしたいと思っております。 ■野上浩太郎是非、前向きな検討をお願いしたいというふうに思います。 次に、国債管理政策についてお伺いをしたいと思いますが、ここ数年は低金利でございましたので、国債の利払い費、比較的抑えられてきたわけでございますが、昨年、ゼロ金利が解除されましたし、これから景気回復局面が続いていきますと、緩やかに金利が上昇していくということも想定をされるわけでございます。ひいては、国債の利払い費が大幅な増加を招きかねないという状況も考えられます。 例えば、十八年度予算とこの十九年度予算案を比較しても想定金利が〇・三ポイントぐらい上昇しているということでありますが、国債利払い費の抑制のためにも、やっぱり適切な国債管理政策を行って、国債の信認を確保することを通じて金利が急上昇しないようにしていかなければならないと。 今後、金利の上昇局面を迎えるという明らかにここ数年とは違う環境、状況の中で政府はどのような国債管理政策を行っていくのか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君)金利の動向は景気の動向等様々な要因によって変動するものであり、今後の動向については一概に申し上げることは困難でございますが、依然として国債の大量発行が見込まれる中におきまして、確実かつ円滑な国債の発行及び中長期的な調達コストの抑制には細心の注意を払う必要があると考えております。 そのために、まず第一に重要なことは、国債に対する信認を確保するために、引き続き財政の健全化を推進していくことであると考えております。その上で、市場との対話を重視しつつ、市場のニーズ、動向等を十分に踏まえた国債発行、国債の保有割合が低い個人や海外部門の保有促進による保有者層の多様化、あるいは年限の長期化、多様化による将来の借換え需要の平準化といった債務管理の進展等、引き続き国債管理政策の適切な運営に努めていきたいと考えております。 ■野上浩太郎ありがとうございます。 これは明らかに状況が変わってまいりますので、これは財政運営につきましての大きなポイントの一つだというふうに思っておりますので、適切な対応をお願いしたいというふうに思います。 次に、所得税法等の一部を改正する法律案に関連してお伺いをしたいと思いますが、十九年度のこの税制改正は、これ経済の活性化が一つの大きな柱となっております。その経済の活性化を進めるためには、これはもう言うまでもないことでありますが、我が国産業の基盤を支える中小企業がこれは元気になることが重要であります。これなくしては日本経済の足腰の強い成長というものはないというふうに思っております。 まずは、この平成十九年度の改正において、中小企業関係の税制措置がこれは相当充実していると言ってもいいと思いますけれども、まずはその内容とそれぞれの減収見込額について、簡潔に御説明いただきたいというふうに思います。 ○副大臣(富田茂之君)今、野上先生御指摘のように、我が国経済の発展のためにも、経済活力の源泉である中小企業が健全に発展していくような政策に力を入れていくことが極めて重要であると考えております。こうした観点から、平成十九年度税制改正におきましては、主として次のような改正を行うこととしております。 まず第一に、減価償却制度につきまして、他の主要先進国はすべて一〇〇%まで償却できるが、日本だけは今まで九五%までしか償却できないという仕組みとなっていたものを、国際的に遜色のない制度とするよう、新規取得資産について、耐用年数経過時点に一〇〇%を償却できるようにする、これは中小企業を含めた日本企業の競争力の強化に役立つものと考えております。 次に、留保金課税制度は、同族会社が利益を配当せず内部に留保した場合に通常の法人税に加えて追加的に課税する制度でありますが、その適用対象から中小企業を除外することにより、資本蓄積を促進するようにしております。 三番目に、実質的な一人会社のオーナーに対する役員給与の損金算入を一部制限する制度につきまして、会社の利益とオーナーへの給与との合計額が八百万円以下となる場合には適用除外としていたところでありますが、中小企業活性化の観点から、これを千六百万円に引き上げることといたしました。 そして四番目にですが、生前贈与を行う際に贈与税の負担が大幅に軽減される相続時精算課税制度につきまして、中小の同族会社の事業承継を円滑にするため、自社株の贈与の場合に、親の年齢要件を六十五歳から六十歳に引き下げ、非課税枠を五百万円上乗せして三千万円といたしたところであります。 こうした改正による平年度ベースの減収額は、中小企業につきましてでありますが、減価償却制度では約一千四百億円、留保金課税制度では約二百七十億円、実質的な一人会社のオーナーに対する役員給与の損金算入制限では約百三十億円、相続時精算課税制度は二億円程度と見込んでおりまして、法人と個人事業者を合わせて約二百七十万の中小企業に効果があるものと見込んでおります。 ■野上浩太郎これは中小零細企業に大きな効果があるということですが、今お話のあった減価償却制度の見直しについてでありますけれども、これはもう正に約四十年ぶりというものでありまして、我が国の成長基盤を整備する上で大変意義深いものだというふうに思っております。 今の御答弁では、大体一千四百億円ぐらいの減収額が中小企業に対して見込めるということでありますが、これ経産省の試算によると、例えば設備投資が約七千億円、あるいはGDPが約一兆円増加するというような試算もあるわけであります。 一方で、これ多少技術的なことになるんですけれども、これしっかりと円滑に進めるために重要な部分なんでお聞きしたいと思うんですけれども、今回の改正で、これはフラットパネルディスプレー製造設備を含む、これは三設備を対象に耐用年数の短縮化を先行させておるわけでございますが、これはその他の減価償却資産全般の見直しについてはどうなっているのか。 さらに、これは耐用年数の資産区分というのは大変細かくなっておりますし、特例のこの申請手続も非常に煩雑でございますので、これらの簡素化に対しては今後どう取り組んでいくのか、お伺いをしたいというふうに思います。 ○政府参考人(石井道遠君)今回の減価償却制度の見直しにおきまして、法定耐用年数に関しましては今先生御指摘のとおり、フラットパネルディスプレー製造設備など三設備につきまして耐用年数の短縮を行っております。 これは、昨年十二月の政府税制調査会の答申におきまして、特に技術革新のスピードが速く、実態としても使用年数の短いものについては、早急に法定耐用年数の短縮を図るべきであるとされたことを踏まえた措置でございます。 今お尋ねの、その他の減価償却資産全般にわたる見直し、特に法定耐用年数及び資産区分の見直しにつきましては、同答申におきまして、使用実態を十分把握した上で、簡素化等の見直しをしていく必要があると指摘されておりまして、今後平成二十年度の税制改正に向け検討すべき課題であるというふうに考えております。 このような観点から、法定耐用年数に関しましては、昨年、関係省庁と共同で減価償却資産の使用実態についての調査を行ったところでございますが、一部の資産区分に係る使用年数の実態につきまして十分なデータが得られなかったことから、現在引き続き補完的な調査を行っております。 したがいまして、法定耐用年数につきましては、このような調査結果を踏まえまして具体的な見直し作業を進めてまいりたいというふうに考えております。 それからまた、資産区分につきましても、実態調査の結果使用の実態がないと認められるものについて廃止するなど、簡素化に向け必要な見直しを行っていきたいと考えております。 あと、耐用年数の短縮特例など各種特例の申請手続、これの簡素化の御指摘がございました。 これにつきましては、具体的にどのような点について改善が必要なのか明確でない点もございますので、以上の見直しと併せまして、今後の税制改正作業の中で関係者から具体的な要望内容を十分に聞いていきたいというふうに考えております。 ■野上浩太郎しっかり対応していってください。 次に、事業承継税制についてお聞きをしたいと思いますが、平成十九年度改正では、これは贈与税の相続時精算課税制度の特例を創設をしておりまして、これはまあ評価をしたいというふうに思っておりますが、今般、これは中小企業の事業承継の局面における活用が期待されております取引相場のない種類株式について、その活用を図る観点から、相続等における評価方法を明確化するということになっておりますが、これはどのように明確化していくのか、お伺いをしたいというふうに思います。 ○政府参考人(加藤治彦君)お答え申し上げます。 今御指摘ございました取引相場のない種類株式でございますが、これにつきまして、特に中小企業の事業承継に活用が期待されているという三類型、一つが配当優先の無議決権株式、それから二番目が、株式ではございますけれども、実質的な中身が社債に類似しているという社債類似株式、それから拒否権付株式と、この三類型につきまして、今般、国税庁においてその評価方法を明確化いたしました。 具体的に申し上げますと、まず無議決権株式につきましては、本来、原則として議決権があるかないかということは財産価値に影響しないという立場を取っておりますけれども、納税者が相続により取得した株式のうち無議決権株式についてはその五%までを評価減することを認め、ただしその場合、その評価減した分は他の議決権のある株式の評価額に加算すると、全体としては同じ価値になるというやり方、その方法も納税者が選択によって使うことができるというふうにいたしております。 それから、配当優先株式につきましては、評価方法、類似業種比準方式という方式で評価する場合には、株式の種類ごとに配当金額が変わってくる場合はその違う株式ごとに評価できるようにいたしました。 それから、社債類似株式については、これはもう社債に準ずるということで発行価格を基に評価するということを明確にいたしました。 拒否権付株式につきましては、これはもう普通株式と同様だということで評価するということにいたしておりまして、これにつきましては本年一月一日以降に開始した相続から適用するということを明確にいたしております。 ■野上浩太郎ありがとうございます。 この事業承継の円滑化というのはやっぱりこれは中小企業の雇用の維持ですとか技術の確保はもちろんのことでありますけれども、商店街のこれは空洞化の防止などの観点からも重要な課題であるというふうに思っております。この課題については今自民党の部会でも小委員会を設置をしまして議論を始めているところでございます。 この事業承継税制については、やっぱりこの中小企業の事業承継を円滑化する観点から、まずその実態を十分踏まえつつ、しかしそれは抜本的な見直しを検討していくべきだというふうに思っておりますが、尾身大臣の御見解をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君)事業承継は中小企業の方々の最大の悩みの一つでございまして、中小企業の事業承継の円滑化は重要課題としてとらえ、様々な観点から総合的な対応が必要であると考えております。 このような観点を踏まえまして、十九年度税制改正におきましては、中小企業における早期かつ計画的な事業承継の取組を支援、促進していくため、取引相場のない株式等に係る相続時精算課税制度の特例を創設することといたしました。 具体的には、事業承継をするために、取引相場のない株式等の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度につきまして、贈与する方の年齢要件を六十五歳以上から六十歳以上に引き下げるとともに、非課税枠を二千五百万円から三千万円に拡大したところであります。 この事業承継につきましては、特に成功した中小企業の方々、現に事業をしておられる中小企業の方々にとりまして大変大事な問題でございまして、私どもは、この実態をこれからも把握しながら、課税の公平さにも留意しつつ、今後抜本的な税制改革の議論の中で真剣に検討していきたいと考えております。 野上委員が、今、自民党の中でこういう面の対策について御検討いただくということは大変に有り難いことでございまして、大いにこういう点、議論をしていただきたいと考えている次第でございます。 ■野上浩太郎是非事業承継のために、本当に大きな意味を持ちますので、しっかりと検討を進めてまいりたいというふうに思います。 平成十九年度税制改正では、今議論しました減価償却制度の見直しですとかあるいは特定同族会社の留保金課税制度の見直し等々、やっぱり中小企業に配慮した経済の成長基盤を整備する措置を講じている一方で、住宅・土地税制の見直しなど、これは国民生活にも配慮したものになっているというふうに思います。 そして、大切なことは、先ほど日銀総裁との議論の中で労働分配率の話ですとか消費の話がございましたが、このような取組を通して経済の成長の成果がしっかりとこれは家計に波及をさせていくということだというふうに思っておりますが、そのための施策とプロセスについて、これは財務大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。 ○国務大臣(尾身幸次君)経済がグローバル化する中で、どの国に経済活動の拠点を設定するかということを企業が決める時代になりました。つまり、企業が国を選ぶ時代になったということであります。そういう状況の下において、少なくとも税制面で企業にイコールフッティングな条件を提供することが最低限必要であるというふうに考えまして、減価償却制度の問題あるいは同族会社の留保金課税の問題などなどについての改正案を今般決めたところでございます。 そういう中で、企業活動、経済活動が活性化して、経済、最近順調な発展段階にあると考えておりますけれども、これによりまして企業の体質強化とかあるいは競争力強化が実現され、そしてそのことによって労働需給がだんだんタイトになり、そして賃金なども含めた家計部門への波及が、経済へのプラス要因の波及が進んでくるというふうに考えているわけでございまして、これをしっかりと進めて、消費の拡大、ひいては経済全体の活性化を実現したいと思っております。 さらに、今回の改正では、中低所得者の住宅ローン減税額を確保するための特例の創設とか、住宅のバリアフリー改修も促進するというような税制の創設など、国民生活にも配慮した改正を行っているところでございまして、私どもとしては、企業、家計共々に順調な回復を遂げ、国民生活が向上するようにこれからも頑張っていきたいと思っております。 ■野上浩太郎ありがとうございました。 正に、経済成長の果実を家計に波及させていくということは、これはもう日本が抱える現在の課題の大きな課題の一つでございますので、これは強力に推進をしていっていただきたいというふうに思います。 あと、次に少子化と子育て支援税制について少しお伺いをしたいと思いますが、今回の税制改正においてはこの企業の子育て支援税制が創設されたということで、これは一定の評価をしたいというふうに思っておりますが、更に本格的な少子化対策税制が望まれているわけであります。例えば、フランスではこれはN分N乗方式というものを取られているんですけれども、これは夫婦共有財産制度が前提となっておりますので、我が国の制度とはこれは前提が違うということがございます。 我が国の今の税体系において考えられ得る抜本的な少子化対策税制につきましては、例えば子供の扶養控除の拡大ですとか税額控除の新設なども考えられると思いますけれども、我が国の税体系の中での現実的な少子化対策税制の方向性についての見解と今後の取組について、尾身大臣はもう大臣就任前からこの少子化対策につきまして熱心に取り組んでおられましたので、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君)いわゆる人口問題研究所の予想によりますと、今後、日本として何も対策を講じなければ五十年後、二〇五五年には人口、今の一億二千八百万が九千万人を切ることになる、百年後には四千五百万人を切るというような推計があるわけでございまして、これが現実のものになるということは、日本という国家にとっては許されないことであるというふうに考えております。したがいまして、人口増加対策といいますか少子化対策については国を挙げて取り組んでいかなければならないと思っておりまして、国、それから地方、あるいは企業、社会、全体が総力を挙げて人口増加対策を実現していかなければならないというふうに考えているわけでございます。 企業の子育て支援に係る特例として、事業所内の託児所施設の割増し償却制度なども今年、十九年度に創設をすることをしているわけでございますが、その中で、税制について、フランスのN分のN乗にするとか、あるいは扶養控除制度を引き上げるとか、いろんな案があるわけでございます。 今、政府で、子どもと家族を応援する日本という、この重点戦略をまとめるということにしておりまして、これは六月ごろには中間報告が出されると思いますけれども、このような議論を踏まえつつ対応していきたい。 フランスなどでは、三十年前は日本と同じ出生率でございました。この三十年の間に日本は一・二四にまで下がり、フランスは二・〇の出生率で、人口もフランスは増加をし、日本は人口減少社会ということが言われているわけでございますが、資金の面においてどうなっているかというと、実はフランスはGDPの三%を子育て、少子化対策に使っている、日本はこの比率が〇・七%でございまして、財政は厳しい折でございますけれども、フランス、つまり人口が増加しつつある国と比べて少子化対策がまだまだ十分でないというような状況でございます。 そういう中で、私は先般の少子化対策のプロジェクトチームの皆さんに対しましても、この人口対策をやるために一体どのくらいお金が掛かるのか、よくしっかりとこの要望なり計算をして数字を出してほしい、まあ数字を出していただいたからといって直ちにこれを予算化するということではありませんが、数字を出してほしいということを申し上げました。 いずれにいたしましても、財政が非常に厳しい状況でございますけれども、今のこのプライマリーバランスを回復するという目標でありますけれども、その中の前提としては、高齢化対応をする、それから国庫負担率を三分の一から二分の一に上げるということに加えて、少子化対策も考えた上で、それを含めた上での財政再建というものを実現していかなければならないというふうに考えておりまして、この問題についても大きな国家の課題として、税制も含め、それから予算面も含め、我々として本格的に取り組んでいかなければならないと考えておりまして、今、野上委員のおっしゃったようなことで、いろいろと検討して対応していきたいと考えております。 ■野上浩太郎大変力強い御答弁を本当にありがとうございます。是非、尾身大臣のリーダーシップを心から期待したいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。 ちょっと時間の関係上、通告の順番をちょっと変えさせていただきますが、都市と地方の財政力の格差問題についてお伺いをしたいというふうに思います。隣に東京の中川先生がおられますので、ちょっとやりにくい部分もあるんですけれども。 昨今、これは地方公共団体間の財政力格差が拡大をしてきておると。例えば景気回復による個人所得に応じた税収増も、例えば法人二税もこれは経済活動の活発な都市部に集中するわけであります。平成十九年度の税制改正大綱においても、「法人二税を中心に税源が偏在するなど地方団体間で財政力に格差があることを踏まえ、地方の自立を促しその安定した財源基盤を構築する観点から、地方の税財源を一体的に検討していく必要がある。」と記述をされたわけであります。 こういう状況に対して尾身大臣は、今国会での本会議ですとか予算委員会等でも、地方団体間に財政力格差が大きい状況があり、今後総務大臣と相談しつつ真剣に取り組んでいく旨の答弁をされておりまして、評価をしたいというふうに思っておりますが、この地方団体間の財政力格差の問題について、それでは例えばどんな具体的な検討課題が考えられるのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君)この国と地方の財政を考える際に、まず二つ問題がありまして、国と地方のどっちが財政が厳しいかということと、それから各地方公共団体の間で格差がどうであるかという二つの問題がございます。 いつもこの地方関係のことを重視する国会議員の皆さんからは、とにかくもっと地方交付税を増やせとか、国からもっと地方にお金を出せという一般論的な総論としてのお話がございます。 しかし、よく見ると、この国と地方の財政状況を十九年度の予算ベースで比較をいたしますと、債務の残高の税収に対する比率、国が債務残高六百七兆円、それから地方交付税などを地方に移転した後の税収が三十九・八兆円でございまして、債務残高と税収の比率が十五・三倍であります。それに対して地方は、債務残高が百九十九兆円、地方税に地方交付税を加えると五十六・四兆円の収入でございまして、この比率が三・五倍でございまして、十五・三倍と三・五倍の格差がある。つまり、この税収に税外収入も加えて比較いたしますと、国の方がはるかに厳しい財政状況になっております。 また、この一般会計のプライマリーバランスで見ますと、十九年度につきましても、国が四・四兆円の赤字であるのに対して地方は全体としては五・四兆円の黒字になっておりまして、国は、全体としての地方、総体としての地方よりも極めて厳しい財政状況にあります。このような状況でありますんで、地方も国と同様の厳しい歳出改革を行うことによりまして地方交付税を抑制していく必要が一般論として全体としてはあると考えております。 他方、個別の自治体を見ますと、地方税収が十分に確保できない自治体がある反面、東京のように大幅な財政余剰が発生する自治体があるなど、自治体間の財政力格差が大きい問題になっていると考えております。具体的に言いますと、例えば、東京都においては十八年度の基準財政収入が基準財政需要を一兆四千億上回っているわけでございますが、この東京の財源超過額は、最も財政状況が悪い八つの県、島根、高知、鳥取、長崎、秋田、宮崎、沖縄、和歌山の全体の財源不足額の合計と大体同じであると、こういうことでございます。 こういう状況にかんがみますと、今後地域間の財政格差の問題に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。具体的な検討課題としては、地方税のうち地域間の偏在が著しい法人事業税及び法人住民税の偏在是正などが考えられますが、いずれにしても、これは私どもだけでは決められる問題ではございませんで、総務大臣とも相談しつつこの問題につき取り組んでいきたいと考えておりまして、是非委員の皆様の御理解をお願いを申し上げます。 ■野上浩太郎正に日本の国の形を決めていく問題でございますので、しっかりとした取組をお願いします。 次に、電子申告についてお伺いをしたいと思いますが、私も昨年、確定申告会場に行きましたり、税務署を幾つか視察をさせていただきました。電子申告の促進についても取り組まさせていただいたわけでございますが、今般の税制改正でも所得税の特別控除という形で対応をしているわけであります。 電子申告につきましては、もう御案内のとおりで、添付書類の別送の問題ですとか、カードリーダー、認証基盤の問題など幾つかの課題がありまして、これは昨年の十八年三月にオンライン利用促進のための行動計画も公表をされているわけでございますけれども、その取組状況をお伺いしたいと思いますし、更なる普及に向けた取組を併せてお伺いしたいと思います。 またあわせて、これも電子化による税務手続の効率化というものは、これは今後も進めていくことが重要なんですけれども、一方で、経済の国際化ですとか電子商取引の市場拡大など税務行政を取り巻く環境は大きく変わってきておりますので、これは、その人材の育成ですとか、また適正な人員確保も含めて、これ執行体制をしっかりと充実させていくということも大切だと思いますが、この二つ併せてお聞きをしたいと思います。 ○政府参考人(加藤治彦君)お答え申し上げます。 まず、電子申告でございます。 これは、先生御指摘のように、オンライン利用促進のための行動計画に基づきまして強力に推進をいたしております。既に、具体的には、今年の場合、税理士関与の場合の納税者本人の電子署名を省略する。それから、e―Taxを利用した還付申告書の処理期間を平均六週間ぐらい掛かるものを三週間程度に短縮する。それから、今国税庁ホームページで確定申告書の作成コーナーがございますが、ここに入っていただくと直接e―Taxに送信できる。あと、受付も確申期は二十四時間行うというようなことで今回対応をいたしております。さらに、今先生からも御指摘がございました十九年度の現在御審議いただいております税制改正の中で、電子証明書の取得につきましては特別の控除制度を創設するということが盛り込まれております。また、先生も今おっしゃいましたが、電子申告の場合の添付書類の問題もございますので、これも基本的な添付書類につきましては、明細書化をすることによって送付を省略できるようなことも盛り込んでいただいております。 これからいろんなことを更に推進していくということで、当然会計処理のIT化も一体で進めていただく必要がありますので、そうしたことの研修会や税務相談を進めていく。それから、これは来年、平成十九年分の確定申告からになりますけれども、税務署に来所をした方につきましては電子署名なしでも、そこで本人確認をするという前提で電子申告ができるとか、幾つかの方法を考えております。さらにこれからも一生懸命努力してこのオンラインの普及に努めてまいりたいと思っております。 それから、二点目のお尋ねでございますが、税務を取り巻く環境が非常に複雑化しているということで、私ども、これはおっしゃいますように電子取引等々いろいろ、その効率化、ITの利用とかアウトソーシング等でいろいろ効率化を図っておりますけれども、まあそれを上回る勢いで企業の方も非常に取引が複雑化している、国際化が進んでいるということもございます。また、経済の成長、それからいろんなこと、要因がございますが、例えば所得税の申告件数も平成七年には千九百万件でございましたが、十年後の十七年には二千三百万件というふうに四百万件も増大しておるわけでございます。 先ほど言いましたように、いろんな努力をする中で、しかしやはりどうしても必要な対応というのは組織的に行っていかざるを得ないということでございまして、まあ機構の問題もございますが、特に人材の確保、特に定員の確保ということで私どもも努力をさせていただいております。本年もそういうことで多くの官庁、公務員の純減が進められる中で、国税職員については若干の増員もいただいております。今後とも、税務行政を取り巻く環境、ますます厳しくなってまいると思いますので、定員の確保については努力してまいりたいと思っております。 ■野上浩太郎ありがとうございました。これで質問を終わります。
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