国会発言録minutes
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第176国会 参議院 本会議
野上浩太郎君
自由民主党の野上浩太郎です。私は、自民党を代表して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
まず冒頭、大切な補正予算の審議の入口において、熟議の国会といいながら、委員長職権で強行に本会議をセットするという横暴な国会運営がなされました。参議院選前の強権的な国会運営と同じであり、全く反省がない。有言実行内閣とは聞いてあきれます。
また、我々自民党は、審議入りの条件として小沢一郎元幹事長の証人喚問を求めていましたが、民主党から環境整備に努めるという回答があり、我々も審議入りを了としたわけであります。
改めて、菅総理、あなたが先頭に立って小沢元幹事長の証人喚問を実現することを表明してください。岡田幹事長では小沢元幹事長に会うことすらできない。まさに菅総理のリーダーシップが試されています。よもや、党任せ、幹事長任せ、国会任せのような答弁はないと思いますが、有言実行内閣として菅総理の明確な答弁を求め、以下質問に入ります。
政権交代から約一年二か月、この間、民主党政権は一体何をしてきたのでしょうか。我が国はどうしてこんなことになってしまったのか、これが国民の偽らざる思いではないでしょうか。国民生活に直結する経済は冷え込み、財政は悪化の一途をたどり、外交・安保問題でも国益が損なわれ続けています。
今、大変な国難であります。そして、この国難を招いたのは、民主党政権、あなた方であります。
一年二か月前、民主党政権は、一抹の不安がありながら期待を持って国民に迎えられました。しかし、今やその期待と不安は大きな怒りと失望に変わりました。
そういう民主党政権に対し、先日、直近の民意が示されました。北海道教職員組合の選挙に絡む不正行為による北海道五区の補欠選挙で、我が党の町村候補が大差で勝利を収めたわけであります。比較的民主党が強いと言われる北海道さえ、菅政権にノーを突き付けました。
民主党がかつて野党のときに主張していたように、直近の民意は極めて重いものであり、今後、菅内閣は、その民意を受けた政権運営になるのは当然です。総理は、今回の北海道で示された民意をどのように受け止め、それを今後どのように政権運営に反映させていくお考えなのか、野党時代の民主党の主張も踏まえて、認識をお聞かせください。
民意は、菅政権の弱腰外交にも強い怒りを感じています。尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件のビデオが予算委員会の理事会で公開されました。しかし、そのビデオは、約二時間のものが約七分間に編集されたものです。これでは全く全貌が分からず、恣意的な編集の可能性も残ります。一方で、中国外務省は、日本の巡視船が中国漁船の進行を妨げたという談話を発表しました。とんでもないことです。政府は、一刻も早くビデオを全面公開して、国民と国際社会に真実を伝えるべきです。総理に見解を伺います。
また、今般の補正予算にレアアース対策が計上されていますが、問われるべきは、中国のレアアース輸出制限の問題であります。菅総理は、ハノイでの温家宝首相との会談の中で、日本経済にとって極めて重要なレアアースについても話し合ったのですか。中国が今後世界貿易ルールを守らないのであればWTOに提訴すると通告したのか、また、していないのであれば、その意思はあるのか、明確な答弁を求めます。
一昨日、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土の国後島を訪問しました。ロシアの大統領として歴史上初めての訪問であり、日ロ間で長年にわたって積み重ねてきた領土返還交渉の経緯を根底から覆す、許し難い暴挙であります。しかも、九月二十九日には、大統領が近いうちに必ず行くと宣言をしていました。
その後、十一月一日の訪問まで、菅政権は、この訪問を阻止すべくどう具体的に真剣に動いたのか。よもや、表向きの懸念を数度伝えるのみという対応だったんでしょうか。先般のハノイでの首脳会議の場で、メドベージェフ大統領もいましたが、会談を設定しようとすらしなかった。訪問阻止に向けてどう具体的に行動したのか、なぜ訪問を阻止できなかったのか、その理由をお聞かせください。
今回の事態は、普天間基地移設問題で日米関係が揺らぎ、尖閣諸島問題で日本が毅然とした対応をしなかった中で、完全に足下を見透かされたのです。これも、菅政権がそれぞれの外交問題に対し場当たり的な対応を積み重ねてきた結果です。菅政権からは、日本外交の戦略性も、そして何より領土を何としても守るんだという気迫が全く感じられません。
今回の北方領土へのロシア大統領の訪問について、日米関係、日中関係との関連も含めて菅総理はどう認識しているのか。さらに、今後メドベージェフ大統領は歯舞、色丹にも訪問する予定とありますが、どう対応していくつもりなのか。そして、改めて我が国の領土を守る決意について伺います。
十月二十七日から事業仕分第三弾が始まりました。民主党は、昨年の衆院選のマニフェストで、二百七兆円の総予算の組替えや無駄削減で四年間で十六・八兆円を生み出すとしていました。しかし、事業仕分による二十二年度予算概算要求への反映額は、純粋な事業仕分ではわずか七千億円弱であり、全く目標額に達していません。
そもそも事業仕分の本来の目的は、無駄排除により予算を節約し、財源を捻出することにあったのではないですか。そうであれば、仕分では国民の皆さんにお約束した財源を捻出することはできませんでしたと、まず謝罪するのが筋ではありませんか。事業仕分の本来の目的は何だったのかをマニフェストの主張に照らして御説明ください。また、事業仕分で無駄を省き財源を捻出しないのであれば、約束した財源はどこで捻出するか、お答えください。
また、今回第三弾の仕分では、例えばジョブ・カードという政策が事業仕分の対象になりました。この政策は六月に新成長戦略の中で、雇用創出のための菅内閣肝いりの国家プロジェクトとして閣議決定されたものです。つまり、自分たちが閣議決定した肝いりの政策を自分たちが仕分けるという事態であり、訳が分かりません。人は、これをマッチポンプと呼びます。少なくとも、看板政策は閣議決定前に政策立案段階でしっかり議論していただきたい。それこそ運営経費の無駄であります。
また、これまでの事業仕分では、廃止判定された事業が看板を掛け替えて復活をしてきています。ゾンビ事業とも言われていますが、これまでどれだけの事業が復活しているんでしょうか、お示しください。また、復活をした事業の所管官庁の政務三役の責任はどう考えていますか、お答えください。また、このような復活が許されるのは、事業仕分に何の法的根拠もないからです。仕分結果をすべて予算に反映させる覚悟であれば、行政刷新会議の議長が菅総理ですから、その仕分結果をすべて閣議決定すべきではないですか。そうでなければ、まさにパフォーマンスということになります。総理、お答えください。
さらに、民主党の特定の議員が行政刷新会議に参加していることは、国会議員と公務員の兼職を禁じた国会法第三十九条違反の疑いが非常に濃いと言わざるを得ません。行政刷新会議の法的位置付けと、仕分人はどのように選ばれ、どのような法的根拠と資格で参加しているのか。この国会法抵触の疑いに関して、行政の長かつ民主党の代表として総理はどのように認識しているのでしょうか、お答えください。
この事業仕分で財源が生み出せないことは明白になりました。一方で、子ども手当、高速無料化、戸別所得補償、高校無料化といった、いわゆる四K政策を始めとしたばらまき政策が進められています。当然の結果として、二十二年度予算の国債が増発され、実に、税収が四十兆円に届かない中で九十二兆円の予算が組まれるという異様な姿になっています。また、今般の緊急総合経済対策の財源として、想定外の税収増や利率低減による国債費返還の差額等を活用するようですが、ばらまき政策を続けながら、一方でなけなしの貴重な財源を使うというのは論外です。このマニフェストにしがみついている限り明確な経済対策は実施できず、財政再建は困難です。今ここで、ばらまきマニフェストを撤回するつもりはないのか、総理、明確にお答えください。
また、ばらまき政策の象徴でもある子ども手当についてお聞きします。
子ども手当を満額支給するにはあと二・七兆円が必要ですが、国会での答弁では、平成二十三年度予算編成の中で検討するというだけで、具体的にどうするのか全く不明です。現金での支給を若干上乗せするとか、残り一万三千円は保育所の整備などサービスの充実、すなわち現物支給で対応するとか、ばらばらの意見は出ているようです。しかし、現物給付は元々自民党が主張していたことで、子ども手当ではありません。おかしなことを言われます。
また、そもそもこれだけの予算を計上するのであれば、例えば公立小中学校の耐震化を来年一年ですべて仕上げ、子供たちの命を守ることの方がよほど優先されるべきものではないでしょうか。自公政権の二十一年度補正予算が執行停止され、大幅に遅れておりますが、あと一兆数千億あれば耐震化は一〇〇%達成されます。
また、日本在住の外国人が母国に残してきた子供にも支給されるという制度設計上の欠陥も解決されていません。地方負担があるという点もマニフェスト違反であります。
子ども手当法は今年度だけの時限立法なので、延長するには新たな法律が必要になります。来年度以降どうするのか、総理の認識を伺います。
我が党は十月二十七日、衆議院に財政健全化責任法案を提出しました。いわゆるばらまき阻止法案です。
国債などの借金は今年六月末で九百四兆円、来年三月末には九百七十三兆円と、千兆円を目前にする見通しです。先進国では最悪の水準で、特に政権交代以降、国債の増発に歯止めが掛からず、財政の悪化を加速しました。我々は野党でありますが、財政再建への責任を強く認識しており、日本を第二のギリシャにしてはならないとの切実な思いから法案を提出したのであります。しかし、菅政権には財政への危機意識が全くうかがえません。
そこで、菅総理に、現在の日本の財政に関してどのような状況に置かれていると考えるのか、財政状況に対する危機意識、健全化へ向けての決意はあるのか、伺います。
また、菅政権では、今年六月に財政運営戦略を閣議決定しています。内容を見ると、プライマリーバランスを五年で対GDP比半減、十年で黒字化するなど、我が党の財政健全化責任法案をそのまままねたものになっています。総理は、我が党の財政健全化責任法案をどのように評価しているのか、そして我が党の求めに応じて法案の審議入りとこの臨時国会での成立を約束いただけるのか、明確に答弁してください。
一方で、政府の財政運営戦略には問題があります。この戦略の中期財政フレームは、平成二十三年度からの三か年のみを対象にして、国債を四十四兆円に抑え、歳出の大枠を前年度を上回らない規模とするということだけしかありません。かつて自民党は、公共事業費、教育関係費等、歳出項目ごとの具体的な目標を示しました。具体的な未来予想図がなければ民間の投資を促進することはできませんし、財政健全化目標の達成も困難だからです。中期財政フレームには歳出項目ごとの具体的な数値目標と道筋を示すべきです。財務大臣に見解をお伺いします。
かつて麻生内閣では、経済状況に関して、百年に一度の厳しい状況にあるとして、あらゆる政策を動員しました。エコポイントやエコカー補助金に代表される大規模かつ有効な経済対策を進め、景気は回復基調を続けてきました。政権交代後の経済を何とか支えてきたのが自公政権の経済政策だったんです。
ところが、鳩山政権以降、意味のない予算の凍結、経済効果のない子ども手当などのばらまき政策、円高進行の放置、エコカー補助金の停止など、方向性が全くちぐはぐな政策が打ち出されました。しかも、産業界に大打撃を与えるCO2二五%削減、派遣の規制強化、最低賃金引上げなど、雇用空洞化政策、アンチビジネス政策をのうてんきに打ち出していることが景気に大きくブレーキを掛け、景気の後退は加速し始めたのであります。まさに政策不況であります。
政府の十月の月例経済報告によると、景気はこのところ足踏み状態となっているとし、基調判断を二十か月ぶりに下方修正しています。このような景気の中で、政府はようやく緊急経済対策を提出し、補正予算を編成しました。しかし、この提出は全く遅きに失したものであります。本当に遅い。だらだらと何をやっていたんですか。自民党は九月八日に緊急経済対策を策定し、申入れを行いましたが、補正予算が出てきたのは実に十月二十九日です。参院選が終わってからこのような状況になるまで約四か月弱、代表選にかまけ、円高を放置し、ここまで補正予算の提出が遅れた危機感のなさには、怒りを通り越して、むなしささえ覚えます。
政府は、今の景気とその先行きをどう判断しているのでありましょうか。経済財政担当大臣に伺います。
あわせて、財務大臣に、今後、円高に対してどのように対応していこうとしているのか、お聞きをいたします。
さらに、補正予算の規模は四・八兆円ということですが、その歳出項目の中に一・三兆円の地方交付税交付金の増額分が含まれています。これは本来、補正予算実施の有無にかかわらず計上されるものであり、補正予算に勘定することは規模の水増しです。つまり、今回の補正予算の中の経済対策は実質的には約三・五兆円しかありません。現在、政府の試算でもGDPギャップは二十五兆円もあり、実質的に三・五兆円程度しかない対策では全くそのギャップを埋めることはできません。
現在の経済状況の中で今回の補正予算の規模をどのように位置付けているのか、そして、この補正予算が景気を押し上げるのにどれだけの効果があると考えているのか、財務大臣に認識を伺います。
今回の補正予算の大きな問題は、その財源であります。政府は、今年度の税収見積りを景気の回復を前提に二・二兆円上方修正し、その分を補正予算財源に計上しています。年度の前半が過ぎたばかりの現時点でこのような楽観的見積りで補正を組むことは間違いのもとであります。実際、過去十五年の税収において、当初予算より決算の方が兆単位で増えた年度は四度あるにすぎません。しかも、これらは景気が順調に回復している期間であります。
現在の景気は、政府も月例報告で判断しているように足踏み状態に入っており、先行きは危ういのであります。だから、この補正予算が必要なわけですが、景気対策が必要な経済情勢の中で税収が二・二兆円も上振れするといった期待はどのような理由によるのか、全く不可解であります。財務大臣に納得のいく御説明をしていただきたいと思います。
また、補正予算の中では、緊急人材育成事業の延長等として約一千億円が計上されています。そもそもこの支援事業は、自公政権の下、二十一年度第一次補正予算で七千億円が計上されていたものが、鳩山内閣の下ではその半分の三千五百億円の執行停止となりました。ところが、今回の補正で大幅な増額が行われております。同じことは地域医療再生基金に関しても言えます。二十一年度補正予算の執行停止は、自公政権での予算を否定する単なるパフォーマンスにすぎなかったのではないでしょうか。
こうした予算の復活劇は、更に精査していけば多くの項目で多額に上る可能性があります。財務大臣に、自公政権での執行停止が復活した予算項目と金額、そして復活した理由を明快に説明していただきたいと思います。
以上述べてきたように、今回政府が提出された補正予算は、現在の経済状況に照らして、とても適切、十分なものとは言えません。したがって、自民党は補正予算の修正を求め、いずれは組替え動議として衆議院に提出したいと考えていますが、ここでは地方への配慮が全く足りないという観点から具体的に三点お聞きします。
一点目は、地域活性化交付金についてであります。地域経済の疲弊は極めて深刻です。しかし、補正予算で三千五百億円しか計上されていません。深刻化する地域経済への認識が著しく欠如しており、地方自治体が活用できる交付金を一・五兆円にまで大幅に積み増すことを求めます。
二点目は、現在大きな問題となっている米価下落への対応についてです。これは、戸別所得補償制度の影響によるものです。この制度自体、抜本的に見直すことが必要ですが、まずは緊急的に米の需給調整対策、過剰米対策を実施し、米価下落に歯止めを掛けなければならない、まさに今回の補正で取り組むべき課題でありますが、見解をお聞きします。
三点目は、公共事業についてです。民主党政権は、コンクリートから人へのスローガンの下、公共事業費を大幅に削減してきました。この削減が地方経済、雇用に与える影響は甚大です。また、昨今、異常気象による災害も多発していますが、災害対策にも公共事業はなくてはならない存在であり、人を守るためのコンクリートは必要なのです。そして、地に着いた政策の実施のためには、来年のばらまき政策の執行停止を事実上の担保として、建設国債で対応すべきであります。
一方の政府は、公共事業の契約の前倒し、いわゆる国庫債務負担行為で二千三百八十八億円を確保したにすぎません。公共事業に対しては、依然として消極的スタンスになっています。今後どのように公共事業を推進するお考えなのか、総理に基本的な認識を伺います。
また、こうした我々の補正予算の組替え動議、要求をどのように認識され、対応されるか、総理のお考えをお聞きします。
最後に、政治の信頼について申し上げます。
日本が今直面している国難を乗り切るには、政治のリーダーシップが必要です。そして、その前提は政治に対する信頼です。信なくば立たずです。しかし、その政治の信頼が地に落ちているんです。直近の世論調査でも軒並み内閣支持率は一〇%以上下落し、三〇%台になっている。これが国民の声であります。
この要因の一つは、言葉の軽さとぶれにあります。先般の鳩山前総理の発言にも唖然といたしました。普天間基地移設問題での発言のぶれは記憶に新しいところですが、この度、自身の出処進退について、私は次の選挙には出馬いたしませんと宣言しておきながら、党の状況が思わしくないから、やっぱり辞めるのはやめて、いましばらく頑張ると言われた。前総理が政治家としての出処進退という大変重い決断を表明されながら、それを突然変節される。何という言葉の軽さでしょうか。このことについての菅総理の所感を伺います。
また、言葉のぶれという点では菅総理の言葉も、参議院選における消費税論議をめぐる発言のぶれ、この度のTPPへの突然の参加表明の迷走等、ぶれにぶれています。まさに有言不実行内閣であります。これでは、国民は菅総理の言葉を信じることはできない。
加えて、これまで申し上げてきたとおり、実現できないマニフェストにしがみつく姿、政治と金の問題にふたをする姿、円高になすすべがなく、経済対策も全く遅い、危機感のない姿、尖閣諸島問題等を通し、我が国の領土、国民、主権を守る気概がないということが明らかになった姿、そして、その底流にある、日本をどういう国にしたいのか、何をしたいのか、その信念が全く感じられない姿、このような姿に対し、国民が信頼を持つことは到底できないのであります。
この信頼を失った内閣で今の国難を乗り切ることはできません。国家国民のため、一刻も早く解散・総選挙を実施し、国民の信を問うことを求め、私の質問を終わります。
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