国会発言録minutes
野上浩太郎オフィシャルサイト
第166国会 参議院 本会議
野上浩太郎君
自由民主党の野上浩太郎です。私は、自由民主党を代表して、安倍総理に質問をいたします。
安倍総理は、昨年九月、国民の大きな期待の中、戦後生まれ初の内閣総理大臣に指名されました。そして、総理就任直後、まずは中国、韓国との首脳会談を再開させ、多くの国民が懸念していたアジア外交を立て直し、昨年の臨時国会においても、教育基本法の改正、防衛省設置法案など国家の基本にかかわる法律を次々と成立させました。安倍内閣は、わずか発足後四か月で新しい国づくりに向け大きな一歩を力強く踏み出したのであります。
さて、戦後六十年、日本を発展させてきた様々な制度や枠組みが次第に疲弊してきており、新しい時代に対応できるものにつくり直していかなければなりません。また、昨今、これまでの日本では考えられない痛ましい残虐な事件が数多く発生し、どこか少し日本という国がおかしくなってきているのではないかと漠然とした思いを抱くのは、国民の共通の思いではないでしょうか。
これらを解決するためには、もはや小手先の対処療法では解決できないのは明らかであります。国家の基本、国家の根幹に立ち返り、新しい時代の日本はどのような国を目指すのかを示していかなければなりません。正に新しい国家像を明確にし、そのために必要な改革の中身とプロセスを国民に示し、断固として進めていくことこそが、現在の日本が抱える問題を解決し、国民生活の改善につながっていくものであると確信をいたします。
総理が目指す新しい国づくりに向け、私たちは与党の一員として全力で総理をお支えしてまいりますので、総理は信念を貫かれ、果敢に邁進されんことを御期待申し上げ、以下、質問に入ります。
少子高齢化が加速度的に進む中で、将来に安心を感じることができる社会保障体制を構築していくことは極めて重要です。国民の意識調査を見ても、年金、医療、介護といった身近な社会保障問題への関心が大変高く、私の地元富山県でも、年末行われた世論調査で、景気対策を抜いて医療、高齢者福祉の充実、そして子育て支援が上位となりました。我々政治家は、こうした国民の要望にこたえるため、長い将来を見据えて、財源に裏打ちされた現実的な制度設計をしていかなくてはなりません。
そういう中で、平成十七年の出生率は一・二六となり、昨年から日本はいよいよ人口減少社会に突入しました。少子化が進み、社会保障制度の担い手が不足し、制度自体が破綻してしまうことは何としても食い止めなくてはなりません。また、少子化は経済の成長や社会全体の活力にも影響する我々が直面する最も重要な課題の一つであります。私自身も、この少子化問題は県議会議員のときからライフワークとして取り組んでまいりました。昨年秋には個人的にも三人目の子供を授かり、正に子育て世代として同世代の生の声の真っただ中におり、この声をしっかりと反映させなければならないと日々感じているところであります。
総理は、施政方針演説の中で、更なる少子化に対する本格的な戦略を打ち立てると明言しておられます。まずは、その具体策も含め、子育て世代に対し強いメッセージを送ってただきたいというふうに思います。
次に、少子化対策の予算規模についてでありますが、社会保障給付費全体のうち、高齢者関係費の占める割合が約七〇%であるのに対し、児童・家族関係給付費はわずか四%以下にとどまっております。このことは、私自身、平成十七年二月の予算委員会でも指摘したところでありますが、極めて低い水準です。また、対GDP比で比較しても西欧諸国などと比べると五分の一の規模となっておりますが、これは西欧諸国では少子化対策を単に出生率の低下に対応するという位置付けではなく、子供や家族に対して社会的に支援する家族政策として位置付けているからであります。
今後の大きな課題として、正に未来を担う子供たちに対する投資である児童・家族関係給付費の割合を高めていくという決意が必要であると思いますが、総理の所見をお伺いいたします。
また、私は、少子化が進む根底には家族の価値や地域のきずなが弱まってきていることがあると思います。いま一度、日本が大切にしてきた、みんなで支え合い、そして信頼し合える社会をつくっていくことが重要であると考えます。この家族の価値や地域社会のきずなの再生をしていくことの重要性についての所見と具体策をお伺いいたします。
また、昨年、私は財務大臣政務官を務めさせていただきましたが、現在の長勢法務大臣が、当時官房副長官として座長を務められ、政務官会議でプロジェクトチームをつくり、家族と地域のきずなの再生について提言を行いました。この提言は、昨年決定された新しい少子化対策にも反映され、家族ときずなを重視する少子化対策に大きく踏み出したものになりました。
その提言の一つに、少子化について国民運動的な盛り上がりをつくり出していくことが重要であり、家族や地域の人々が触れ合う機会を増やし、国民的議論を喚起する契機とするため、家族の週間や家族の日を定めることなども提言しました。この家族の日を始めとした国民運動としての盛り上がりを醸成していくことについての具体策を総理にお伺いいたします。
昨年は出生数、婚姻数とも増加が見込まれ、少子化問題にも明るい兆しが見られるところであります。安倍政権において、この流れが更に加速され力強い歩みとなることを願ってやみません。
次に、総理が今国会の最重要課題に位置付けられた教育再生についてであります。
言うまでもなく、教育は国家百年の計であります。と同時に、現在学校に通っている子供たちとその親にとっては緊急の課題です。私も小学生を持つ親としてこのことを切実に感じているところであります。つまり、あるべき姿、理念を高く掲げ、その実現に向けた方策を明確にするとともに、今現場で起こっている問題をどう解決していくかについて具体的に示していくことが必要です。
そういう中で、昨年の臨時国会では約六十年ぶりに教育基本法が改正されました。正に高い理念がうたい上げられたわけでありますが、この成立により教育の何が変わるのか、そして、総理は教育の理念、あるべき姿として何を第一に考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
そして、緊急の課題としてはいじめ問題が挙げられます。今この瞬間にも苦しんでいる子供たちがおり、できる限り早急にその状況から助け出さなくてはならないのです。このいじめ問題については、そもそも実態把握すらきちんとなされておらず、総理が教育の再生に焦点を当てなければいじめの実態把握や対応が更に遅くなったことも考えられます。政府としては一刻も早い対応が求められますが、その緊急対応策についてお伺いをいたします。
同時に、教育現場における改革も議論され、ゆとり教育の是正、教員の質の向上、教育委員会の在り方の見直しなどについて実効ある改革が今後着実に実を結んでくるものと期待をしておりますが、今国会での法改正も含め具体策をお伺いします。
総理は、教育改革は社会総掛かりで取り組まなければならないと述べておられます。学校だけでなく、家庭、地域社会も一体となって取り組むことが大切であり、正に教育は我々大人の責任であるということを自覚しなければなりません。
私は、年末に、自民党の国会議員でつくるアジアの子供たちに学校をつくる会という議員連盟の活動の一環としてカンボジアに行ってまいりました。この議員連盟は、毎月寄附金を積み立て、学校を建てることができない貧困に苦しむアジアの子供たちに学校を造って贈呈する会であります。この会は十年前に発足した会であり、実は安倍総理は、総理就任前はこの会の会長でありました。これまでにカンボジアを始めアジア地域に計六校の小学校を贈呈しており、今回は七校目であります。
そこで何より印象的だったのは、交流した多くの子供たちの強い目の輝きであり、学ぶことを心から喜んでいる純粋な思いでありました。子供たちは、本来このような純粋な思いを持っていることを改めて強く感じ、日本の教育問題を考えるときにもこの子供たちの原点に立ち返ることが大切だと痛感しました。そして、この思いにこたえることが我々すべての大人の責任であり、総理が述べておられるように、教育再生が社会総掛かりでの取組になることを強く願うものであります。
次に、景気、経済について伺います。
先般、「日本経済の進路と戦略」が発表されました。今後五年間のうちに名目経済成長率が三%以上となり、二〇一一年には基礎的財政収支の黒字化を達成し、財政再建が着実に進展する姿が想定されています。決して子供たちの世代に大きなツケを先送りしないという安倍政権の強い決意が感じられる政策提示であると高く評価していますし、私も昨年、財務大臣政務官として同じ思いで職務に取り組んだところであります。
また、景気は全体として見ると高度成長期のイザナギ景気を超えたと言われるように、長期的な回復を続けております。しかしながら、私も毎週地元富山県に帰り生の声を聞いておりますが、強く感じることは、地方経済、そして中小零細企業の状況は依然として大変厳しく、景気が良いのは大都市と大企業だけではないかということであります。
そこで、政府に一つお願いしたいのは、日本全体のマクロの数字と併せて、きめ細かなミクロの分析にも力を入れていただきたいということであります。具体的には、現在行われている各種の地域別や企業の規模別、業種別の分析を更に強化、統合し、景気判断の材料にすべきと考えますが、御所見をお伺いします。
そして、一方では、企業の好調が家計に波及せず、個人消費が低迷するといった問題があり、またフリーターやパートタイム労働者など、所得格差が固定されるという問題もあります。これらの諸問題の解決のためには、経済をしっかりと成長させることにより全体の底上げを図っていくことが重要であると考えます。
総理は、大都市、大企業の景気回復をどのように地方経済、中小零細企業の景気回復につなげていくのか、そしてその成果をどのように家計に波及させ、個人消費を拡大し、さらには所得格差の固定化をどう是正していくのか、御所見を伺います。
さて、総理は施政方針演説の中で地方の活力なくして国の活力なしと明言され、地方では大きな期待が高まっております。
総理は、逆さ地図を御存じでしょうか。正式には環日本海諸国図と言っておりますが、中国、ロシア、韓国など日本海を取り囲む対岸諸国に対し、日本の重心が日本海にあることを強調するため、北と南を逆さにして大陸から日本を見たユニークな発想の地図であります。
私の地元富山県は、日本海側のほぼ中央に位置するという地理的優位性を生かして、環日本海時代の玄関口を目指し、対岸諸国と幅広い分野の交流を進めてきました。さらには、現在までに対岸諸国と日本海沿岸の十二府県による連携と協力も図られております。また、現在建設中の東海北陸自動車道が来年全線開通しますと、日本海側と太平洋側がつながり、アジアに向けての物流の拠点となることも期待されております。
総理は、日本が人、物、資金、文化、情報の流れにおいて魅力ある国となり、日本がアジアと世界の国の中で中核的な役割を果たすアジア・ゲートウェイ構想を掲げておられます。アジアの時代を見据え、政府に先駆けて地方で既に始まっているこの環日本海構想と国家戦略であるアジア・ゲートウェイ構想を連携させる視点が必要であると思いますが、御所見をお聞かせ願います。
また、都市と地方の不均衡を考えるときに、公共事業を重点投資し、基幹的な交通インフラなどを整備して、競争条件を整えていくことは必要不可欠であります。例えば、北陸沿線住民の念願でもある北陸新幹線などは、政府・与党合意では平成二十六年末の完成が予定されておりますが、地方再生のためには一日も早い全線開通が必要であります。日本の基幹インフラである整備新幹線についての総理のお考えを伺います。
また、昨年、地方分権改革推進法が成立いたしましたが、地方が自立し、自ら実行するための必要な財源確保も重要な課題であります。
総理は、地方公共団体間の財政力格差の縮小を目指すと述べておられますが、例えば、大都市圏への税収偏在の是正、交付税の在り方や硬直性が指摘される補助金の改革、頑張りが報われるインセンティブの働く仕組みづくりも大切です。地方自立に向けての必要な財源確保策についてお伺いいたします。
このほかにも、地方再生のためには様々なテーマがあります。中心市街地の再生、観光の振興、日本の基盤を守る農林水産業の振興なども待ったなしであり、正に地方からのトータルな成長戦略をつくり上げていくことが魅力あふれる新しい日本をつくり上げることにつながることを確信するものであります。
総理は、施政方針演説の終わりに、困難な問題にひるまず、あえてそこに挑戦していく覚悟と決意を示されました。その総理の力強いリーダーシップの下、新しい時代の日本の未来が力強く切り開かれていくことを願い、私も情熱と志を持って全力を尽くしてまいることをお誓いし、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
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