
議事録第162国会 参議院 財政金融委員会 第7号 平成17年3月29日(火曜日)本日の会議に付した案件
○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。 ○委員長(浅尾慶一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 ○委員長(浅尾慶一郎君)御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ○委員長(浅尾慶一郎君)関税定率法等の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 ■野上浩太郎 おはようございます。自由民主党の野上浩太郎でございます。 それでは、限られた時間でございますので早速質問に入っていきたいと思いますが、まず、関税定率法等の一部を改正する法律案についてでございます。 言うまでもなく、この知的財産権の保護といいますのは知的財産立国を目指す我が国にとりましても最重要課題の一つでございます。しかしながら、知的財産権侵害物品、この輸入差止め実績も昨年の上期だけでもう二〇〇〇年の五倍以上にも上るというような被害の拡大をしているということでございます。 このような状況に対しまして、昨年十二月には知的財産戦略本部で模倣品・海賊版対策加速化パッケージというものも策定をされました。これの推進にまず全力を尽くしていかなければなりませんし、またあわせて、当局間の連携強化という面で、中国との税関相互支援協定、この締結への最終作業も加速化しなければなりませんし、またEUとの協定についても早期合意に向けての協議を促進しなければなりません。 そういう中での今般のこの法改正でございますが、こういうような今申し上げたようなことも含めて財務省といたしまして総合的にこの課題にどのように取り組んでいくのか、まず谷垣財務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(谷垣禎一君)冒頭、野上委員から今朝のインドネシア沖地震についてお話がございまして、実は、今し方ございました閣議の後、閣僚懇で町村外務大臣から私も報告を聞いたばかりでございますが、各国の被害状況、まだ全容が判明しているわけではございませんけれども、去年のような大津波というものは起きていない、発生していない模様でございます。 いずれにせよ、今後判明する被害の状況とか被災国からの要請などによっては国際緊急援助隊を直ちに派遣するというようなことも検討を今している最中だと聞いておりますし、私どもも状況を把握して遺漏のないように対応したいと思っているところでございます。 そこで、知的財産権の保護に関しましては、今いわゆる知的財産立国ということで官民挙げて取り組んでいるところでございますし、財務省としても、特に知的財産権の侵害物品を水際で取り締まる、これを強化しなきゃならないということで今一生懸命取り組んでいるところでございます。 具体的には、法制面で、今年もお願いをしておりますが、過去二年間制度改善、特許権等について輸入差止め申立ての対象化等々やっていただいて、それに引き続きまして、今度出させていただいている法律では、権利者による見本検査であるとか、それから不正競争防止法違反物品の輸入規制品への追加であるとか、それから育成者権の侵害物品について税関から農林水産大臣へ意見照会を内容とする改正をお願いしているわけでございます。 そこで、諸外国との連携強化も大変大事でございまして、最近では、去年十二月に韓国と知的財産権侵害物品に係る情報交換についての規定を盛り込んだ税関相互支援協定を締結いたしましたが、現在、中国それからEUとの間で同様の協定の早期締結に向けて努力しているところでございまして、こういうものを早く結んで遺漏なきように取り組んでいきたいと思っております。 ■野上浩太郎それで、今回の改正では、不正競争防止法上で輸入が禁止されている製品ですね、つまり、周知表示の混同を惹起する製品ですとか著名表示を冒用する製品、形態模倣品、これを輸入禁制品に追加をされております。例えば、たまごっちに対してニューたまごウオッチというのが出てきたり、ほとんどもう容器、デザインが一緒で、一部だけがちょっと違っているというようなものも入ってくる。これは大変なボリュームなものが追加をされるわけでございます。 これは重要な改正なんですけれども、これは税関が水際で迅速に判断をするというためにはやっぱり、例えばデータベースで検索をするとか、いわゆる経済産業省との連携の中でやっていかなければならない部分というのが大変多いと思うんですね。その体制についてどういうように考えておられるのか。 またあわせて、もうそういう微妙な製品が出てくるわけですから、税関職員のいわゆる目利きみたいな技術的な習熟というのも非常に大事だと思うんですが、その辺も併せてお聞きをしたいと思います。 ○副大臣(上田勇君)お答えいたします。今御指摘があったとおり、正に経済産業省との連携というのは不可欠でありまして、そうしたことから今回のこの法律案でも、水際取締りの実効性を確保するため経済産業省との密接な協力を得ることといたしております。 今御質問にもあったように、不正競争防止法違反物品というのは、これは例えば商標権のように保護される商標や権利者が登録されているものではないものですから、やはりその侵害の判断が容易でないという場合も想定されます。したがいまして、経済産業省とは、具体的には、不正競争防止法物品についても輸入差止め申立ての対象とし、輸入差止め申立ての際には、表示の周知性、著名性、どれだけ多くそういうのが知られているかというようなことについても経済産業大臣の意見書を提出するとともに、水際取締りの対象とする表示や物品等を特定するというようなことをやるとか、また実際にそうした物品が輸入されようとするときに侵害物品に該当するか否かを認定するための手続において税関が必要に応じて経済産業大臣に意見照会をするということができるようにしておりまして、差止め申立てをした者や輸入者から提出された証拠や意見に加えて、経済産業大臣の意見を基に侵害の該否を認定するというような仕組みをこの法案の中に導入しているところでございます。 また、今質問の中で触れていただきましたデータベースについても、現在でも、税関がその申立て、輸入差止め申立て等を受理した場合には、その申立ての内容について、侵害の内容であるとか、そういったものを含めたデータベース化をしているところでございまして、税関で審査をする際にそれらを利用させていただいているところでございます。これから不正競争防止法違反物品についても輸入差止め申立てを受理した場合は、このようなデータベース化を行うことによりまして水際における迅速な判断が可能にしていきたいというふうに考えております。 また、今御指摘にあったとおり、やはり税関職員の習熟というのが必要でありますので、このため、税関におきましても、特許権、商標権等の権利者による模倣品等を識別するための研修を実施しておりますし、また特許庁等の他機関や弁理士等の専門家による税関職員に対する研修、税関において知的財産権にかかわる事務を担当している調査官によります税関職員に対する研修など、種々の研修を実施しているところでございます。 また、そのほかにも、既に導入しております特許庁長官への意見照会制度、あるいは今般提出しております法案におきます不正競争防止法物品についての税関から経済産業省への意見照会制度や、育成者権、これもこの法案に含まれておりますが、侵害物品についての税関から農林水産大臣への意見照会制度などを活用しまして、水際におけます知的財産権侵害物品の迅速適正な取締りを実施していくこととしております。 さらに、以上に加えまして、他の税関からの相談を受ける東京税関においては特許権の専門家であります弁理士を任期付職員として採用する予定でありますし、船の専門家の活用や研修の一層の充実により、今後とも知的財産物品の水際取締りには万全を期してまいりたいと考えております。 ■野上浩太郎御丁寧な御答弁、ありがとうございます。是非、運用面において現場で混乱生じないような体制整備を是非お願いしたいと思います。 次の質問なんですが、大枠の話といたしまして、やはりテロ対策の水際の取締りの強化、これと、やはり通関手続等の迅速化ですね、これはもう国際競争力を保っていくために重要なものでございますが、しかし、これはもう二つとも重要なんですが、ある意味では相反するような部分もあるわけでございますし、この両立をどういうふうに図っていくのか、大枠の話でございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(谷垣禎一君)国際的な相互依存が高まってきて、税関がその物流を阻害するようなことであってはならないというのがこのところのずっと流れでございますが、他方、九月十一日の同時テロ、同時多発テロ以来、非常にテロの面というのも緊迫化してまいりました。もちろん今までも水際でいろんな悪いものを止めるというのは当然のことでございますが、そっちの要請も高まってきたと。ある意味では委員がおっしゃるように矛盾する要請ですが、日本の税関行政もそれにこたえなきゃいけないと。また、日本だけではなくて、税関の国際機構でございますWCO、世界税関機構というのがございますが、そこにおいてもこの二つを、ある意味では矛盾するんだけれども、どう両立していくかというのが極めて大きなテーマになってきているわけでございます。 そこで、その両立を図るという観点から、平成十七年度の関税改正でコンプライアンスの優れた者に対しては輸出通関手続を迅速化していけるような措置を講ずる、これが今回お願いしていることでございます。これによって、コンプライアンスの優れた者に対してはできる限り通関を迅速化する一方で、そうでない者に対してはより一層厳正な審査とか検査を行っていって安全も期そうと、こういうことでございます。 それから、昨年十二月、国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部、ここで決定されましたテロの未然防止に関する行動計画というのがございますが、それを受けて、平成十七年度のこの関税の改正で爆発物等を輸入禁制品とするということによる輸入管理の強化も盛り込んだところでございまして、本行動計画の実現に向けて関係機関と連携を緊密にして適切な対応を図っていきたいと思っております。 ■野上浩太郎今お話ありましたように、そのコンプライアンスに優れた者に対する措置というのは、これまでの日本の通関の考え方ですとかあるいはリードタイム短縮による金利や費用の縮減効果を考えますと本当に画期的なことだなというふうに評価をしたいと思いますが、これはやはりこの制度をしっかりと利用してもらわなきゃいけないわけでございまして、今、それに対する政省令、詰めていらっしゃるところだということでございまして、ちょっとその質問をしようかと思ったんですが、時間がありませんので、しっかりと利便性を高める方向で政省令詰めていただきますようにお願い申し上げたいと思います。そして、あわせて、この通関の迅速化、テロ対策としてもそうなんですけれども、いわゆる貿易・通関手続の電子化というもの、大変に急務だというふうに思っておりまして、一昨年の、二〇〇三年七月にシングルウインドーということで一度この一本化をしたわけでございますが、この運用も何か大体三割ぐらいしか利用者がいないというようなことも聞いておりまして、なかなか利用が進まないということでございます。 今、財務省と国交省でこの電子化について次世代シングルウインドーというような形で更に検討を進められているということでございますが、これは重要な取組だと思いますけれども、この取組について大臣にお聞きをしたいというふうに思います。 ○副大臣(上田勇君)お答えいたします。今御指摘いただきました次世代シングルウインドーの検討については、財務省、国土交通省等の関係大臣政務官会合におきまして、関係府省が連携をいたしまして、FAL条約の締結にかかわる港湾手続の簡素化措置、あるいは輸出入及び港湾、空港手続関係業務にかかわる最適化計画等の検討を行っているところでございまして、これらについては財務省が議長ということで取りまとめを行っているところでございます。 これらの検討に当たっては、やはり申請者の視点を重視をして、それから関係府省、またそのほかの関係民間業界とも連携して検討を進めているところでございます。今後、こうした検討を踏まえまして、税関システムの最適化計画を平成十七年度末までのできるだけ早い時期に策定をしたいというふうに考えているところでございます。 ■野上浩太郎ありがとうございます。最後に、IDAについての質問を最後一問して終わりたいと思いますが、予算委員会、財政金融委員会でもいわゆるODAの在り方と財政健全化ですとか、国内への資源の振り分けの議論がございました。谷垣大臣もナローパスだけどもしっかりやっていきたいと言っておられます。正にそのとおりだと思いますが、今回のIDAの件についても、出資シェアは低下したけども出資額は増加したというような部分もございますし、それによって日本の影響力ですとかプレゼンスの低下を懸念する声もございますが、日本の国益にとっては日本の主張ですとか、そういうものをどういうふうにして今回の交渉に反映をさせたかということが重要であろうというふうに思います。 このことについて最後にお聞きをしまして、終わりたいと思います。 ○国務大臣(谷垣禎一君)IDAの増資、今度は第十四次ですが、今まで各国負担額は、前回出資の出資シェアをベースに、相対的な各国の経済力であるとか財政事情を勘案して各国間交渉して決めていくということですが、今回のこの十四次増資交渉では、ミレニアムプロジェクト等を実現するために非常に大規模な増資になりまして、ところが、我が国はある意味では苦しい立場にある、財政事情が非常に厳しゅうございますので、増資規模は増えるんだけれども、各国からの理解を求めて我が国の出資シェアの縮減を図りました。この結果、我が国の出資額は今後三年間で二千七百七十五億八千五百万円、出資シェアは前回の一六%から一二・二四%に下がることになって、今委員もおっしゃいましたように、これで日本の発言力が弱くなるんじゃないかという心配をされる向きもございます。しかし、累積出資額で見ますと、引き続きアメリカに次いで第二の出資国との位置付けに変化はございませんので、今回のシェアの低下が我が国のプレゼンスの低下に直ちにつながるわけではないと思います。我が国は、今度、主要出資国でございますので、増資交渉でも我が国の主張を相当鮮明にしてぶつけたところで、合意形成には重要な役割を果たしたと思います。 さっと、もう時間もございませんので手短に日本の主張を申しますと、投資環境の改善とインフラ整備、このごろインフラ整備で長い、何というんでしょうか、持続的な成長をつくっていくことが必要だという主張をする国が少なくなってまいりまして、日本はその数少ないところでございますから、そういう面がやはり大事だということを言いました。それから、民間セクターの育成、その中における技術支援とか政策対話の重要性、それからやはり債務持続性分析というのをしっかりやっていかないと駄目だということですね。それから、結果重視の国別支援戦略を定着させるということが大事でないかというような主張をしまして、これがやはり合意のベースになったと思います。 それから、IDA資金の地域別配分については、今アフリカに非常に関心が集まっておりますが、もちろんアフリカは大事でございますけれども、アジアも世界の貧困人口の大きな部分を占めるんで、そこもやっぱり取組を強化する必要があるんじゃないかというようなことを主張しまして、我が国の主張は評価をされているところではないかと思っております。 ■野上浩太郎終わります。
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