
議事録第156国会 参議院 国際問題に関する調査会 第5号 平成15年4月16日(水曜日)本日の会議に付した案件
○会長(関谷勝嗣君)ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。 国際問題に関する調査を議題といたします。 本調査会では、「新しい共存の時代における日本の役割」のうち、東アジア経済の現状と展望について、これまで政府から報告を聴取するとともに、参考人から御意見を伺うなど、重点的かつ多角的な調査を進めてまいりました。 ■野上浩太郎東アジアの経済を考えますときに、今も中国の議論というのが非常になされているわけでございますが、中国脅威論というのもありますし、それを好機ととらえるべきだという議論もいろいろあるわけでございますが、中国経済のまずは今後のいわゆる成長をどのように考えているのかと。先ほど、大体七%から八%の今成長があって、新政権もそれは続いていくと、二〇二〇年には日本の規模に追い付いていくというようなことを言われてはおりますけれども、例えば私自身も中国に進出をしているいろんな経営者の皆さんと話をしたりビジネス関連の人と話をしますと、もう当然中国の方でもデフレみたいなものも始まっていますし、教育問題もある、人口構成問題もあるという中で、本当の意味でどういうふうに中国の今後の経済を分析をしているのか。 あわせて、中国経済の位置付けなんですが、日本にとって脅威なのか好機なのかということを考えますときに、FTAのいろんな枠組みによって脅威なのか好機なのか、競合なのか分業なのかというところも変わってくると思いますので、そのFTAの枠組みと中国経済の日本に対する位置付けというものをどういうふうに考えているのか、お聞きをしたいと思います。 また、あわせて、アジアにいわゆるそういう広域経済圏を作りますときに、電子商取引というものをどういうふうに生かしていくのかという視点が非常に重要だと思うんですね。ある機会に、参考人からも電子政府というのがそのための大きな道具となるというようなお話もございましたけれども、正にその電子商取引といわゆる自由貿易というのは車の大きな両輪だと思います。 それで、e―ASEANフレームワークアグリーメントの中でもその認識というのがもう完全に一致していますし、ASEANの電気通信情報ワーキンググループの中でもかなり具体的な議論というか取組がなされているんですね、電子認証をどうするかとか。そういうことについて、日本として電子商取引についての今の取組と現状等々についてお聞きをしたいと思います。 ○政府参考人(渥美千尋君)中国の問題についてお答えいたしたいと思います。先生御指摘のとおり、中国も、彼らの基本的な今後の期待としては二〇二〇年までに四倍に持っていくという目標を掲げてこれから始めるわけでございますけれども、当然いろんな問題があり得るということかと思います。短期的な問題、それから長期的な問題、両方あると思いますが、短期的には、今、WTO加盟ということをしたわけですけれども、当然それに伴う問題が出てくると。 ちょっと簡単に一言、二言申し上げますと、WTO加盟により、どちらかというと難しい問題としましては、農業分野、穀物ですとか大豆ですとかそういったものの輸入が増えてくるということになれば、当然そういう農業分野での問題が起こってくる。それから、国際競争力の低い、例えば自動車、医薬品、化学品等々、資本集約的な産業におきましては、外資産業が、今度外資が仮に入ってくれば当然大幅な工場喪失が迫られるということで、こういったことから失業者は増えるというようなことがあり得るかと思います。 他方、しかしWTOに加盟したわけですから、国際ルールの下で市場経済が定着するということになりますと、やはり国内経済の改革が進展し、それから国内経済自体も拡大していくことが期待されます。個別の産業について一言申し上げれば、繊維とか食料品とか軽工業、家電といった労働集約型の産業、あるいは一部農産品もそうだと思いますけれども、中国の安い労働力を背景として一層伸ばし、更に成長していくと、そういうプラスの面での動きもあろうかと思います。 それに加えて、今度は中長期的には、先生も御指摘がありましたけれども、人口の高齢化の問題もございますし、それから国有企業の改革ですとか財政金融問題、最近、国債のようなものも発行しておりますけれども、そういった問題、それから、もっと根本的な農業をどうするんだという問題、いろんな問題がありますので、こういったことが中長期的には経済成長の阻害要因になり得るというふうに考えております。 ただ、いずれにしろ、こういう中で新しい政権、温家宝総理は、基本的には経済成長の維持が一番大事だということで、経済構造を進める、対外開放を進めるということでやっていくということを明確にしておりますので、日本側としても、そういう中国の発展が世界経済全体、日本にとっても適切なものになるように働き掛けていくということが大事かと思っております。 その関連で、FTAとそれから中国の話がございました。 今申し上げたように、中国はまだWTOに入ったばかりでございますので、まだいろいろと問題を抱えております。ですから、日本側としては、まだ中国側と、もちろん一部には日本と中国あるいは日中韓のFTAという話がございますけれども、そういうことにすぐ入るのではなくて、中国側がWTOの約束をどう守っていくか、そういうことを見極めて、そして将来の話としてそういうことも考えてまいりたいと。当面は、これまでも話がありましたように、東アジア、ASEANですとか韓国ですとか、あるいはメキシコもありますけれども、そういった国々とのFTAを優先的に考えて対応してまいりたいと、こういうふうに考えております。 ○政府参考人(寺崎明君)電子商取引の関係につきましてお答え申し上げたいと思います。電子商取引を安心して利用するためには、電子署名や認証業務といったものが安心して利用できる環境を整備することが必要だと思っております。その観点から、平成十三年の四月に、総務省、法務省、経済産業省の共管により電子署名及び認証業務に関する法律を施行させていただいております。こういったような電子署名・認証業務につきましては、こういったような普及活動の実施等によりまして電子商取引の普及振興を図っているところでございます。 なお、外国との間で行うような商取引につきましては、国境が当然インターネットですとなくなりますので、ネットワーク上の本人確認等の手段としまして電子署名とか認証業務が欠かせないものと認識しております。この法律では、外国において認証業務を行う者は国内の認証業務と同一の基準により我が国において認証認定を受けることができるということにしておりまして、そのため認証業務の認定に関する国際相互承認の実現に向けた取組を今推進しております。 具体的には、二〇〇二年十一月末に発効した日本とシンガポール経済連携協定によりましてシンガポール政府の認可を受けた事業者が日本の認定を受けようとする場合には手続が簡素化されると、こういったようなことも取り組んでおります。 なお、電子政府、電子自治体につきましても、こういったような観点からセキュリティーの確保等を十分配意しながら進めているところでございます。 ○政府参考人(松井英生君)電子商取引について補足させていただきます。今、総務省の方から全体的なお話がございましたけれども、個別具体的には、日本と韓国、あるいは日本と台湾、さらにはASEANベースで電子商取引を進めるための様々な制度的な枠組み作りについて協力をしておるところでございます。具体的には、電子商取引を進めるためのセキュリティーということでパブリック・キー・インフラストラクチャー、PKIの相互運用の推進ということでアジアPKIフォーラムをアジア・オセアニア諸国の間で始めております。 それから、日韓との間ではいわゆるトラストマーク、つまり、この企業は信用できる企業かどうかというマークがトラストマークということで日本の商工会議所等々が運用しておるわけでございますけれども、この相互承認を進めるとか、あるいは情報を保護できるようなちゃんとした企業かというものに対してはプライバシーマークというのを作っておるわけでございますけれども、これの相互承認を進める等々の話合いを日韓で行っております。 それから、日台間におきましても制度の協調を、運用の協調を行う等々、話合いを続けているところでございます。 さらに、加えまして経済産業省の方で電子商取引に関するガイドラインというのを作っておりまして、これをASEAN各国に対して今普及啓蒙運動を行っているところでございます。 以上でございます。
|
Copyright©2007 野上浩太郎事務所 All Rights Reserved.