
議事録第156国会 参議院 国際問題に関する調査会 第4号 平成15年4月2日(水曜日)本日の会議に付した案件
○会長(関谷勝嗣君)ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。 国際問題に関する調査を議題といたします。 本日は、本調査会の調査テーマである「新しい共存の時代における日本の役割」のうち、東アジア経済の現状と展望に関し、情報化の進展と東アジアのITについて参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。 ○参考人(佐賀健二君)御紹介いただきました佐賀です。御指示がありましたので座らせていただきます。 二枚目の紙が私の今日のテーマであります。五項目にわたってお話をさせていただこうと思いますが、後で二時間の討論があるということですので、冒頭の三十分はできるだけ問題提起を含めて後の討論を活発にさせていただいて、討論の中でより深く突っ込むと、こういう考え方で資料をまとめました。 まず最初に、IT革命をどう評価するかというテーマがございますが、ここで沖縄IT憲章と、今年の一月に世界情報社会サミットのアジア地域会議が東京で行われました。この二つの代表的な国際会議でITをどう評価しているかということを御紹介しております。学者先生方のIT革命の定義などというよりは、社会的にどのような価値を持ちどのような評価があるのかということの方が私は役に立つと、こう思いまして、そういう角度からこの二つの指摘を選びました。 情報通信技術は二十一世紀を形作る最大の潜在力であり、世界経済の成長を実現する原動力であるということで、この情報通信技術についてはインフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー(IT)と沖縄IT憲章には書かれています。ところが、二つ目の世界情報社会サミットでは、同じ日本語は情報通信技術ですし、フルネームは両方とも同じインフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーなんですが、国連あるいはITU等ではICTという略語を当てています。 じゃ、両者に別の意味があるのかといいますと、そうではありません。IT憲章もフルネームは全く同じインフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーですから、余りその違いをせんさくするよりは、むしろ同じものと、こういうふうに御理解をいただいた方がいいと思います。 それでは、このIT産業って何だということですが、アメリカ、カナダ、メキシコの北米の三か国が九〇年代の初めに産業分類を改革をいたしまして、技術の変化に対応した産業分類ということでIT産業という分類を作り、そのIT産業の中に四つのサブインダストリーということで、サブインダストリーの第一がハードウエア産業、コンピューター及び関連機器、二番目として通信機器産業、これが電気通信・放送、AV機器、そして三番目がソフトウエア・サービス産業、コンピューターのOSとかアプリケーションソフトなどなどのソフトウエア産業、第四が通信サービス産業で、電話、放送に加えてインターネット等の幅広い通信サービス産業が位置付けられています。 そこで、このIT産業に対してどういう評価があるかという意味で、米国の例をアメリカの商務省の報告書に基づいて御紹介をいたします。 一九九九年と二〇〇〇年の年に、アメリカの商務省はエマージング・デジタルエコノミーUというのとデジタルエコノミー二〇〇〇という二つの報告書、実はこの前の年に、九八年にエマージング・デジタルエコノミーという最初の報告書が出ておりますが、この二つの報告書でアメリカ経済がIT産業の影響を受けてどのように長期の持続的成長が可能になったかということを紹介しておりまして、IT産業の全経済に対するシェアが六%から八%に上がったと。これは、九三年から九八年の間にそのような二%の上昇があったと。 しかしながら、IT産業が、この八%のIT産業が経済成長全体への貢献度で見ますとアメリカの全産業成長率の三分の一、八%が三三%の原動力になっているということを言っております。そして、インフレなき長期成長が可能になった原因として、IT産業の生産物の価格低下がインフレ率を抑えたということを評価をしております。もうコンピューターの値段が性能が上がって下がってくるという、これは皆さん御経験のとおりであります。 それからもう一つは、生産性の上昇ということが非常に重要な意味を持ちますが、アメリカの生産性上昇率が七〇年代から九五年までのかなり長期にわたる平均が一・五%であったけれども、九五年から九九年の四年間の間は二・八%に上昇したと。通常、経済成長を遂げるに従って、経済が成熟するに従って生産性上昇率は順次緩慢に、緩やかになっていくというのが経済の常識だけれども、それを破る現象が出てきた、だからこの新しい現象をニューエコノミーと呼びたいと。こういうことで、ニューエコノミー論がアメリカの中で盛んに議論されたんですけれども、二〇〇〇年を天井にしてITバブルがはじけた、そしてIT不況が起こったと、こういう現実があるわけですね。 そういう状況の下で一体どういうふうに今日を見るべきなのか。一九九九年から二〇〇〇年の間、アメリカのエコノミストたちの間で真っ二つに分かれて、このニューエコノミー論と、いや、そんなに楽観はできない、大きな経済循環は必ずやってくるんだと、こういうふうに言った学者たちも半分はいたわけで、その後の方の、否定的に、いや、循環を避けることはできないと言った学者たちが今元気を回復していると。こういう状況ですけれども、昨年の初めに商務省は二年ぶりにデジタルエコノミー二〇〇二という報告書を出しましたが、その報告書では不況からの回復を予想して、またアメリカ経済は元気になるんだという楽観論に満ちた報告書を出したんですけれども、その直後、昨年の夏ごろから再びIT不況は深刻化してきていると。 これが今日の状況で、この不況の、IT不況の影響はヨーロッパ、日本へとかなり厳しい波及効果を出していまして、アメリカ第二の長距離通信事業者、ワールドコムが倒産をする、そしてブリティッシュ・テレコム、イギリスのブリティッシュ・テレコムあるいはドイツ・テレコム、フランス・テレコム等々も多額の借金を抱えてリストラをせざるを得ない状況に追い込まれていると、これが今日の状況であります。 それなら、一体アジアはどうなんだろうかと。こういうことになるわけですが、経済企画庁は毎年「アジア経済」という報告書を出していたと。最後に出たのが「アジア経済二〇〇〇」と。その「アジア経済二〇〇〇」にこの九七年までの統計がIT機器生産高で出ておりまして、その後の新しい統計を探し回ったんですけれども、出ておりません。経済企画庁が内閣府に変わってからこの報告書は出なくなったというのが政府刊行物センターの方の説明で、残念ながらこの後のグラフをお示しできないんですけれども。 これを、グラフをごらんになって、おやっと思われる方がいるかも分かりません。おまえはついさっき全経済に占めるシェア六%が八%に上がったと言っているけれども、これではアメリカは下がりっ放しじゃないか、しかも八%どころか三%ぐらいじゃないかと、こういう疑問をお抱きになると思います。ここを見てください、IT機器生産高です。つまり、このIT産業の上の、上二つなんですね。したがって、このことから判断できることは、アメリカで急成長を遂げたのはソフトウエアサービス産業と通信サービス産業だと、こういうふうに判断することができるということが言えるのではないでしょうか。 私自身の経験でも、去年の一月に新聞広告を見てデルコンピューター、これはアメリカのコンピューターですね、世界最大シェアを誇るアメリカのコンピューターを新聞広告を見て買いました。一週間後にちゃんと注文どおりの付加価値を付けて配達されました。箱を見てびっくりしました。メード・イン・チャイナです。その中を、更にこん包を外してキーボードが出てきました。キーボードを見たら、メード・イン・マレーシアです。ということで、つまりそのことがアメリカのハードウエアのところがほとんど停滞している、あるいは若干下がっているということの意味で、生産、ハードウエアの生産の面でアメリカの相対的地位は下がっている、空洞化していると。これはひょっとしたら、今の日本で生産工場がどんどん中国へ行ったり外国へ移っている、日本の姿でもこの種のことが起こるのではないかということを示しているのではないかと思われます。 さて、そのIT革命、いろんな期待と懸念が出てきておりますが、新しい技術というものをどのように我々は理解したらいいのかという面で、私は昨年の三月末まで大学にいましたが、学生たちには、新技術というのは人間の能力を拡張すると、こういう立場で評価をして、ただし、新しい技術には常にマイナスとプラスの面があると、その欠点をいかに克服し、そして恩恵をいかに拡大するかだと、こういうふうに講義をしておりましたが、そのことが第一。 それから第二は、このITはニューエコノミーの推進力であるけれども、ニューエコノミーそのものに対する疑問が若干今出てきていると。 それから三番目、ITは新たな格差、デジタルデバイドを生み出す。これも克服すべき課題であります。 それから、ネットワーク社会の脆弱性とセキュリティー問題が登場していると。これも皆さん御存じのとおりであります。 その次に、ITはデジタルオポチュニティーを創出すると。大きな新たな機会を創出するということで、一番上に戻って、問題はいかにして欠点を克服し恩恵を拡大するかという立場からいいますと、デジタルエコノミーをいかにしてデジタルオポチュニティーに変換するか、転換させるか、これが我々が抱えている最大の政策課題ではないかということを強調したいと思います。 それから、ITは異文化交流を活発化し、異文化理解を深化する。これはそのとおりでありますが、その反面、世界じゅうが、英語のコンテンツが半分以上である影響を受けて、固有の文化を破壊し独自性を喪失する可能性も持っていると。この点についても、やはりいかに欠点を克服して、逆に独自の文化を世界に発信するという形でデジタルオポチュニティーに転化する必要があるということであります。 最後は、ITは新しいライフスタイルと文化を創造すると。これにもプラスの面とマイナスの面があることは御存じのとおりであります。 さて、次にデジタルデバイドの構成要因。 いろんなデジタルデバイドに関する報告書が出されています。アメリカの政府の商務省もフォーリング・スルー・ザ・ネットということで、ネットの落とし穴とでも日本語に訳したらいいんでしょうか、デジタルデバイドを分析した報告書が出ておりますが、たくさんの角度から格差が分析をされています。 先進国と途上国の間の格差、都市とルーラルの間の格差、さらに、その次に書かれてあります収入、教育と職業訓練、人種、ジェンダー、年齢、身体障害、いろんな起因に基づくデジタルデバイドがございますが、特に国際的に見る場合には、アメリカ平均と例えばインドネシアの平均を見たときの格差よりも、インドネシアの中のジャカルタとその他の格差の方がはるかに大きいということを私は強調したいと思います。例えば、インドネシアのジャカルタの電話の普及率は約二〇%ですけれども、島々の方へ行くと電話のない部落が今日なお約半分あるということでありまして、百対ゼロみたいな形でのとてつもない格差が途上国の都市部とルーラルの間にあると。 したがって、デジタルデバイドをグローバルに解消するためには、開発途上国のルーラルとか遠隔地の情報インフラをいかに整備するかということが最大の課題であるということを強調をしておきたいと思います。 これはアメリカにおける人種間のデジタルデバイドであります。 後で皆さん興味をお持ちになったときに、この表を見てあれっと思われることがあります。アメリカの、黒人とかいろいろありますが、あれっ、ホワイト、白人よりもエイジア・パシフィック・アメリカンの方がITに対する関心が強くてインターネット利用率高いの、これ何と、こういうことですが、もし討論が展開されるんであれば質疑応答のときにお答えいたします。 これは世界的に見たインターネット人口ですが、九九年から二〇〇〇年のこの一年間にとてつもない急成長を遂げております。アジア太平洋で二・五倍、ヨーロッパでも二倍強、ただし既に普及が届いているアメリカの場合には四〇%と、こういうふうになっていますが、これを見て、その後どういうふうに変わるか。私は、やがてアジア太平洋はヨーロッパを追い越しアメリカに追い付くだろうと、こうその当時予想しました。二年後の、これが昨年の九月現在、二年半後ですね、の現状であります。アジア太平洋がトップに出るという私の予測は外れまして、トップに出たのはヨーロッパが先にトップに出まして、それに僅差でアジア太平洋が従って、アメリカ・カナダを追い抜いたと、こういう現状ですが、これは絶対人口ですから、普及率ではありません。人口が二十数億のアジアの場合は仮にアメリカを追い越しても普及率ははるかに低いわけでありますけれども、総人口、インターネット人口という意味では非常に面白い数字であります。今日では恐らく私はアジアはヨーロッパをも追い越しているだろうと、こう思いますが、世界的に有名なヌア・サーベイという、一番下のところにウエブサイトのアドレスをお書きしておりますからごらんいただいたらいいと思いますが、昨日現在この数字は更新されておりませんでした。これが一番新しい数字と思っていただいて結構です。 さて、今は国家IT戦略ということで非常に盛んですが、九〇年代の半ばにアメリカのクリントン政権が登場するときに、情報スーパーハイウエーの構築ということを掲げました。そのクリントン政権の情報スーパーハイウエー構想が非常に大きなインパクトを持って、アジア太平洋地域の各国がそれに対応する国家の戦略を出しました。日本でも二十一世紀の知的社会の変革へ向けてという長たらしい名前の報告書が出て、二〇一〇年までに全家庭に光ケーブルということを打ち出したことは御存じの方は多いと思います。ところが、この計画は大体二〇〇〇年を目標にしておりましたから、二〇〇〇年が近づくにつれて少しずつ変わってまいりました。次の段階の戦略を立てようということで、九九年から二〇〇〇年にかけて出てきたのがこれであります。これがアジア太平洋各国の国家IT戦略。IT革命という言葉が流行語になりましたので、それぞれIT、IT21とか、インフォコム21とか、IT二〇一〇とか、そういう形でITという言葉が国家戦略の名前として登場をしてまいります。 これは、各国の国家IT戦略の取り上げているテーマをテーマごとにランク付けをしたものです。黒丸は実施中で、白丸は計画中で、空白のところはなしという、計画なしということなんですが、ほとんどの国の国家IT戦略が課題としては共通しているということをこれは示しております。 さて、そのIT革命さなかのミレニアムイヤーと言われた二〇〇〇年にはたくさんの国際機関がITに関する政策提言を行いました。二〇〇〇年の五月に国連ハイレベルパネル、七月にはWEF、世界経済フォーラム、ダボスで有名なところです。その次、沖縄IT憲章、そしてアジア欧州会合、アジア太平洋情報社会サミット、そしてe―ASEAN枠組み協定ということでASEANも共同のIT戦略を打ち出す、APECも首脳会議のブルネイ宣言を出す、こういうことでありました。 この沖縄IT憲章のときに、日本政府はIT包括協力策ということで、ITはチャンスだとの認識向上と政策・制度作りへの知的貢献、人づくり、情報インフラ整備、援助におけるIT利用の促進、こういうことで発表をいたしました。これは十二月四日のこの研究会で外務省が発表しておりますので、これ以上申し上げません。ただ、外務省は具体例を言っておりませんので、私が自分で経験しました、かかわりました、これの最初の政策・制度作りへの知的貢献の具体例を申し上げます。これがインドネシアの国家IT戦略に対する提言であります。 JICAが私に対してインドネシアの国家IT戦略立案に対するシニアアドバイザーになってくれと、こういう要請がありまして、私がシニアアドバイザーとして現地に赴き、現地の人たちとの討論を経て、最終的に分かりやすい絵でかいたのがこの絵であります。 一番下にインフラストラクチャー、これはすべてに共通したものですよと。しかも、その上にぐるっと輪をかく形でヒューマン・キャパシティー・ビルディング、これは人材育成、これもすべての分野に必要ですよということ。そして、縦の三本柱として、電子政府と、それからIT産業の育成と、右側にEコマース、電子商取引という柱を立てて、そして横に国際的協調が必要ですよというふうに書いた。これがインドネシアの国家IT戦略に対する一番一般的な分かりやすい絵がこれであります。 もう一つは、JICAが遠隔研修のネットワークを展開中であります。私は同じくJICAから頼まれまして、このJICA―NETの管理委員会の座長をさせていただいて、この立案に関与をいたしました。目的はここに書いてありますように、既存の研修に取って代わるというよりは、既存の研修をより充実し更に拡大するという、そういう目的で展開されておりまして、センターとしましては、沖縄と東京のJICAの研修センター、そして外国側は、インドネシア、フィリピン、マレーシアが運用中、タイ、ベトナム、ラオスが間もなく運用を開始するという状況にあります。最終的には三十か所というふうに目標が立てられています。 これは世界のインターネットインフラというものを絵に描いたものですが、これは後でまた議論をしたいと思います。 さて、そこでe―APECストラテジー、アジア太平洋地域全体をカバーするIT戦略、これがe―APEC戦略であるわけですが、歴史はございます。九五年に、先ほど言いました情報通信基盤という意味で、APII、エイジア・パシフィック・インフォメーション・インフラストラクチャーを作ろうということで、第一回のAPEC電気通信大臣会合が決めました。五年たったところで今度は、先ほど紹介しましたAPEC首脳会議がブルネイ宣言で目標設定をして、二〇一〇年までにアジア太平洋地域のすべての人がインターネットにアクセスできるように、こういう目標を設定しました。それをいかに実現するかということで、e―APECタスクフォースが設置され、e―APEC戦略の討議を開始して、一年後の上海での首脳宣言、首脳会合でe―APEC戦略が採択されました。このe―APEC戦略の採択を受けて、昨年の五月、APEC電気通信情報産業大臣会合で活動計画を発表いたしました。その後APECの電気通信情報ワーキンググループで、その具体化のための討論が進んでおります。先週私はこのAPECの電気通信情報産業ワーキンググループ会合でマレーシアのクアラルンプールに行っておりました。 さて、e―APECの戦略の課題、「市場構造及び制度強化のための環境整備」と、こうありますが、随分たくさんのことが書かれています。ちょっと見たところ、財務と企業統治などという四番目のテーマなどは、果たしてこれITとどのぐらい関係があるのと、こういうこと、疑問も出てくるぐらい非常に幅広いテーマがこのe―APEC戦略の中に盛り込まれております。 二番目が「インフラ投資と技術開発のための環境整備」ということで、この中でITに絡むオンライン取引法とか電子認証、情報セキュリティー、個人データ保護といったテーマが並んでおります。ここらは討論の中で深めていきたいと思いますので、最初の段階ではさっと飛ばしてまいります。 その次が「人材育成の強化と起業家精神の向上」ということで、ここでデジタルデバイドへの対応、人的能力の強化、それから国際協力と情報交換、ベンチャービジネスの育成、中小企業というような言葉が出てまいります。 この戦略を受けて、実行計画として電気通信情報産業大臣会合、昨年の五月に同じく上海で開かれたところで発表した行動計画の柱がインフラストラクチャーの整備、二番目が政策問題、特に自由化とそれからプライバシー保護などといった問題、三番目が通信インフラとネットワークのセキュリティー、そして人的能力の向上と、ヒューマン・リソース・ディベロプメントとかヒューマン・キャパシティー・ビルディングなどという英語が使われております。 さて、実はAPEC加盟国というのは二十一か国なんですけれども、地図上で描いていきますと太平洋のど真ん中が抜けております。太平洋島嶼国、二十一か国地域があるんですが、その中でAPECに入っているのはパプアニューギニアだけなんです。そこで、この抜けているところを何とかしなければということで、太平洋島嶼国の人たちが集まって、昨年の四月にたたき台でありますけれども、太平洋島嶼国地域のIT政策戦略計画を発表いたしました。それがここに書いております中身です。内容的にはよく共通しておりますので、ここらは飛ばしていきたいと思います。 さて、沖縄サミット以降、ITに関してどのような国際協力策が提言されたか、この五つについて申し上げたいと思います。 私が所属しておりますPECCの日本委員会電気通信小委員会、ANIC構想ということで発表をいたしました。七月に沖縄IT憲章、そして協力包括策が出てきたんですけれども、なかなか動きが見えてこないということで、民間主導型ということが言われているんだからひとつ民間の手で作ろうじゃないかということで議論を始めました。 基本的な考え方として、対等のパートナーシップと共有するオーナーシップに基づいて、アジア太平洋地域のコミュニティーに必要な公共、公益サービスの提供あるいは持続的、自立的、協働可能なITプラットフォームを共同で構築してはどうか。そして、アジア型ビジネスモデルを創出してはどうだろうか。そして、沖縄の新たな重要性と躍進ということがここに入っております。これは後の討論のところで是非私の考えも申し上げたいと思います。そして、デジタルデバイドの解消ということであります。 ANICの必要性については、ここに、皆さんのお手元にあります。余りこれを詳しく説明する必要はもうないかと思います。後の討論のところでまた必要があれば返っていきたいと思います。 このANICの基本、これがANICの基本構造ですが、これはローアーティアというインフラのところ、これはだれが作ってもほぼ同じものになるであろうと思われるインターネットインフラ。その上に、それぞれが個性を生かしてお互いに競争しながら発展させていくべきアプリケーションの分野があると、こういうふうに一枚の絵を描きました。そして、それぞれについてどういうふうにしていくべきかということについて議論をいたしました。 その結果、我々が目指すこのインターネットの姿というのは、今のアメリカ集中型ではなくて、アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアが対等と平等の立場に立って二十一世紀のこのようなインターネットインフラを作るべきではないかというのが我々の提言の中身で、その真ん中に次の世代のIPv6を入れようと、こういうことであります。 具体化する場合にどういう具体化の方法があるかといえば、これは政府と、官民ですね。先ほど紹介しました、たくさんの二〇〇〇年に発表された政策提言文書のすべてが官民の新しいパートナーシップあるいは官民の新しい戦略的提携、こういった言葉を抽象的に提言しております。これについてはだれも反対する者はいない。皆賛成なんだけれども、どの報告書を見てもその具体的姿が見えてこない。それを何とか具体化しなければ駄目ではないかというのが私どもの考え方で、私どもとしてはこういう絵を描いて、まず政府と政府の間の緩やかな枠組み協定のようなものがあって、それに基づいて今度は民間同士が更に国際的に話し合うような、そしてそれぞれの国で政府と民間、官民のパートナーシップが結ばれて、戦略提携ができ上がって、更にそれが横の国際的に広がるような姿、これが新しい官民のパートナーシップあるいは官民の戦略的提携の姿ではないだろうかと思って提言をいたしました。 PECCの電気通信小委員会って何だということになりますので、PECCの生い立ちを紹介してあります。これはもう見ていただくだけでいいんではないかと。 JICAの研究会、これは皆さんのお手元にこういう冊子をお配りをいたしました。柱はそれぞれの分野別のことを書いているんですけれども、その前に全体像を明らかにしてから分野別にと、こういうことで整理するのがよかろうということで、この研究会、私も委員として参加をして、この報告書をまとめた一人であります。 具体例、これは医療分野と環境分野で書いておりますが、これは省略をいたします。 次いでIT推進有識者会議、これは必ずしも国際的なものだけを取り上げたんじゃなくて、国内も含めて全体的なものを取り上げて、その一部として国際的な活動の報告がここに書かれています。結構今までのものとダブっておりますから、これは省略いたします。 最後に、アジア・ブロードバンド計画、二十八日に政府が発表をいたしました。e―Japan二〇〇二重点計画の中で二〇〇二年度中にアジア・ブロードバンド計画を策定すると、こういうことがうたわれて、それがやっと具体化され、固まって発表をされたということであります。私がマレーシアのAPECの会議から帰ってきたら、総務省から決まりましたよという報告をいただきました。といいますのは、私、このアジア・ブロードバンド計画研究会の会津さんと一緒にメンバーでありまして、この中身を固めた一人であります。また後でこれは討論のところでむしろ具体的にお話しする方がいいかと思いますので、冒頭のところは避けたいと、こう思います。 終わりの方に参りますが、我が国のIT協力策への提言ということで、ODA改革は不可欠だ、在来型では対応できない、こういうことを私は思っておりまして、五点にわたって提言をいたしております。 ODA案件決定に時間が掛かり過ぎる、もっと早めるべきだ。在来型人材育成では対応できない。三番目は、ローン返済期間三十年というODAの枠組みはITの現実に合わない。それから、ODAは基本的にバイラテラルで行ってきたけれども、マルチの援助枠組みが必要だ。そして、受け身の要請主義だけでなく、積極的かつ戦略的援助案件の形成をやるべきだと。こういうふうに思っております。ここらは私の問題提起でありますので、後で是非議論を深めたいと思っていることであります。 二番目としては、一体、アジア・ブロードバンド計画決まったよ、だけれどもどういうふうにしていくのということについて、どのような枠組み、マルチの枠組みがあるか、日中韓か、日・ASEANか、それともASEANプラス3かと。ここらについて是非議論をしたい。しかし、このように書いてまいりますと、台湾という扱いが非常に政治的に微妙になってまいります。したがって、多角的な取組が必要ではないかと思われます。 それから、沖縄の国際情報通信ハブをどう実現するか。アジア・ブロードバンド計画を立てろといったe―Japan重点計画に沖縄の国際情報通信ハブ化ということが別の項目として入っております。これをどう組み合わせるのかということが非常に重要と。 さらには、新しい国際協力の理念をどう具体化するかということで、日・ASEAN賢人会議、この座長は小和田大使であります。皇太子妃のお父様の小和田大使が座長になって、対等のパートナーシップ、共有されたオーナーシップ、相互尊重と、こういうことをうたいましたけれども、これを具体的にどう実現していくのかということがあります。 これは、具体的な戦略的アプローチの重要性ということで、電子政府と、それから経済発展計画と国家IT戦略を結合するべきだという具体例として、タイの具体例を挙げております。これは後の討論のところでより詳しくお話をしたいと思います。 最後に、e―Japan戦略の基本理念ということで、これは二〇〇〇年の一月に決定されたものの中に、冒頭に非常にいい言葉が入っております。「既存の制度、慣行、権益にしばられず、早急に革命的かつ現実的な対応を行わなければならない。」というふうに書いているのが果たして実行されているんだろうか。私はまだまだ大いに問題ありと。改革の実行こそ最大の課題ということで私の冒頭の話は締めくくりたいと思います。 ○会長(関谷勝嗣君)大変ありがとうございました。次に、会津参考人から御意見をお述べいただきますが、映像の準備がありますので少しお待ちください。──会津参考人、お願いします。 ○参考人(会津泉君)会津でございます。私は三つ所属しておりまして、一つは自分で会社といいますか、一応最近はNPOというのがはやっているんですが、これはノープロフィットカンパニーと呼んでおりまして、利益が全然上がらないのでノープロフィットでございますけれども、私だけでおりまして、後ろの秘書がおりますが、双方で、二人でSOHOをやっていますが、SOHOを双方ということでやっておりますが、これは五年前にマレーシアに参りまして会社を作りました。 マレーシアで非営利法人を外国人が作るということは、これは不可能だということもありまして、仕事をするのに、契約を取るためには形にならなきゃいけない、ビザも取らなきゃいけないということで、向こうですと二ドル払う、マレーシア二ドルですからざっと七十円払うと会社が作れるということで、手続その他でコンサルタント随分使ったんですけれども、それにしてもまず会社を作って、それがアジアネットワーク研究所で、二〇〇〇年に戻ってまいりまして三年いて、そこで日本の会社というふうにしております。 その下に国際大学GLOCOM、今日は舛添先生いらっしゃっていますけれども、舛添さんにもずっと特別研究をしていただいておりまして、そういう情報社会論の議論を、大学に附属している独立の研究所でございますが、ということでやっておりまして、最後にハイパーネットワーク社会研究所、佐賀先生の話にありましたが、大分に一村一品運動というのを現知事、もうじき替わられますけれども、平松さんが言い出したんですけれども、その大分に本部がある、今ですと総務省と経済産業省共管の、国共管の財団で、地域のコミュニティーのネットワーク作りの研究を十年間やってきておるハイパー研と、この三つに属しております。 今日は、東アジアに焦点を置いてお話ししますけれども、本題入ります前に、私のモットーは百聞は一見にしかずと。一つは、写真をお見せしますけれども、もちろん、ワン・ピクチャー・イズ・サウザンド・ワーズ・ワースということですけれども、それだけじゃなくて、見を経験の験に是非していただきたいということを申し上げていまして、つまりインターネットとかブロードバンドとか、遠くから議論しているだけでは、あるいは教科書を読んだり、私の話を幾ら聞いてもほとんど理解はできないと思いますが、実際におやりになればすぐに分かる。 大変僣越ですが、皆さんの中で御自分で電子メールをやっていらっしゃる方ってどのぐらいいらっしゃいますか、ちょっと手を挙げていただくと──おや、結構いらっしゃいますね。僕、三分の一ぐらいかなと思ったんですが。これが全員になるべきだとは申しません。それぞれのお考えがあるんで、秘書がやった方がいいとか、いろんなあれがあるんで。ただ、だんだんやらざるを得なくなる可能性はありまっせということは申し上げておきたいと思います。 その数字というか、根拠がこの表でございます。今、東アジアのブロードバンドの、これ人口普及率でございますので、韓国で言いますと、去年の十月に一千万人を突破して、政府が記念式典をやりました。役所が表彰されたんですけれども、二一・四%と。香港が意外と高くて一六・二、台湾、日本、シンガポールということで、日本が、これちょっと一年前の数字で、二〇〇二年、去年の二月、ちょうど一年前ですとまだ二・二%、それが七%まで急に増えたんですけれども、それでもまだ韓国との間は三倍強あると。これは普及率ですから、数でいいますと、韓国は日本の人口の三分の一ぐらいですから、日本の方が三倍多いということになるんですけれども、実はそんなに変わらなくなってきていますけれども、普及率では全然違うと。 このデータにはあれしていないんですけれども、お見せしていないんですけれども、韓国のインターネットそのものは九七年までは大したことなかった。日本より普及率低かったわけですね。経済危機が来てから急に増えていったということで、後でその話もちょっとしますけれども、じゃ、どうしてブロードバンド、韓国に限らず、東アジアが世界の中でもこんなに普及してきたのか。例えば、アメリカは四%、ヨーロッパは平均値でいうと二・三%しかないということで、これはOECDがおととしそういうレポートを出したので急に注目されたわけですけれども、少なくとも今までのどうも常識とは違うことが起きているらしいと。 全世界的に言いますと、スウェーデンとかフィンランドとかカナダというのは多少ヨーロッパの平均よりはるかに高くて一〇%前後あるんですけれども、それでも圧倒的に東アジアが強くなってきていると。どうしてなんだ。これは、去年の四月の東アジアの経済統合というシンポジウムでしゃべれと言われまして、僕は経済学者じゃないんで嫌だと言ったんですけれども、経済学者でアジアのITに特化して議論というか研究をがんがんしている人ってめったにいないですね、佐賀先生。ほとんどいないです。これ、ですから、中国、韓国、台湾、みんな呼んだ国際シンポジウムやったんですけれども、だれも議論できないということで、なぜだと。IT産業全体が例えばアジアの中で、先ほど佐賀先生のお話にもあったように、非常に大きなウエートを占めているにもかかわらず、それがどういう、なぜそういうふうになっているかとか、じゃ、どうすればいいかということについて研究している人はほとんどいないというのが実態でございます。それで、しようがなくて、私は別に学者でも何でもないんですけれども、引っ張り出されて、いろいろ議論をすることになっているんです。 それで、そういう、先ほどのデータなんかを示すと、韓国や台湾の学者たちも知らなかったから一緒に議論しようというようなことになって、でも、じゃ何でそんなにブロードバンドが伸びていったのかということはなかなか説明が難しいわけです。普通でいえば経済力、経済的に豊かであればそういうのもどんどん入る、インフラもあればパソコンも買えるしということで、と考えられるんですけれども、必ずしもどうもそうじゃない。 あるいは、じゃ国が積極的にe―Japanとかサイバー・コリア21とか、そういう政策を打ち出せば、皆さんが仕事をされて、お役所と一緒にそういう政策を作っていけば普及するのかと、どうもそうでもないらしいというふうに思います。むしろ、社会制度とか文化とかあるいは国民性、気質とか、そういったものの方が大きな影響があるんじゃないかというのが私の仮説でございます。 インターネットそのものでも今、東アジア、特に香港が一番高くなっていまして、これ携帯の普及率も大体似たようなものですけれども、日本は少なくとも去年の段階では四割ぐらいでありまして、数値でいうと東アジア諸国よりも少し落ちている、台湾と同じぐらいということでございます。世界でいうと、スウェーデンとか北欧系が一番普及率高いんですけれども、ほぼ数字変わらないところにもう来ているということが言えると思います。これ、GDPパーキャピタとか、後で見ますけれども、そういうのを見ると、非常に面白いことが出てきます。 ただし、アジア全体でも、このブルーにしてあります香港、台湾、韓国、シンガポール等は五割を超えていますけれども、日本がその次で、その次にマレーシアがちょっと特異現象で二四%の普及率で、ブルネイ一〇パー、タイ五パー、中国二パー、今、中国はちょっと数字が上がって四パーぐらいまで来ていますけれども、その先はデジタルデバイドで二%、一%、〇・何%ということで、アジアの中でも国別の普及率も非常に違う。もちろん、さっき佐賀さんが言われた、首都と、あるいは都市と農村、あるいは田舎との差というのも非常にあります。 ただ、インターネットの方は、相対的に見ますと、GDP、一人当たりのGDPとインターネットの普及率というのは大体並んできます。例外は日本です。日本だけは経済力に比べてインターネットの普及率は遅い、低い、これははっきりしております。もう一つ挙げるとブルネイですけれども。 韓国は逆に、ちょっと見にくいかもしれませんけれども、指数的に取りますと、一人頭のGDPよりもネットの普及率がはるかに高い。数字というのはマジックですから、これは韓国は非常によくやっているという言い方をすることもできれば、反対に、別にそんなにインターネットなんか使わなくたって日本はGDPは非常に高い数字を上げているじゃないかと。だから、余りコンピューターとネットワーク使わない方がGDP上がるということが日本を基準にすれば言えますし、韓国を基準にすれば逆のことが言えるということになるかと思います。 ただし、ブロードバンドで見たときに、まだ普及度が短い、歴史が浅いですから、必ずしもこういういろんな要因をきちっと固まった数字で説明するのは難しいんですけれども、それにしても、そんなに経済発展の度合いとブロードバンドの普及度との間の相関関係は余りないかなというふうに今のところ言えます。 例えば、アメリカがGDPは非常に高いんですけれども、それほどブロードバンド伸びていませんし、日本もシンガポールもそうであると。ところが、香港、台湾もそうですが、韓国は非常に伸びたと。ここに書いてございませんけれども、中国でいいますと、中国を一つの国として比べるの、少なくとも香港や台湾まで一緒にして比べるのはむしろアンフェアでありまして、上海、北京、それから杭州等の地域だけで見ますと、二%とか三%ぐらいのところに既にブロードバンドで数字が来始めています。 じゃ、経済的な要因から説明できないとしたら、じゃ何なのかということを少し韓国の事例で見てみたいと思うんですけれども、先ほど申し上げたように、去年の秋に一千万人を突破して一千百万、世帯普及率でいうと六割を超えているということでありまして、国民の六割以上がブロードバンドを日常的に使っている。なぜなんだと。 最初の引き金は、大体、いろんな説があるんですが、ゲームPC房と呼ぶんですけれども、町に失業者があふれ始めて、しようがなくて始めたゲームセンターに何となく学生とか子供たちが行き始めて、でも夕方からというか、午後か夕方から子供たち来るんですけれども、それだけじゃ飯が食えないというか、回転が悪いですから、昼間は、じゃ朝は主婦とか、それから夜、ビジネスマンも来るようになって、ゲーム好きであるということもあったんですけれども、別にゲームだけじゃなくて、ちょっと株を買うとかメールを出すとか、そういったたわいもないことも含めてみんなが使うようになった。今、大体二万から三万軒あると言われていまして、先ほど申し上げたように、人口が日本の三分の一ですから、日本にすると、六万軒というと、日本のコンビニが大体今、少し減ったのかな、六万あるかないかですね、五万幾つとかということで、少なくとも日本のコンビニぐらいには犬も歩けばゲームセンターというか、PC房にぶつかるというのが韓国の実情であります。最近、ちょっと落ちてきているんですけれども、これは家庭にどんどん入っちゃったんで、何も町になくてもいいんじゃないかということでこうなったんですけれども。 最初のころは、もうずらっとみんな並んで使っているんですが、高速のネットワークの言わば家庭に入る前は、ブロードバンドがまだ余りなかったころは、町に行くとすごく速いインターネットがんがん使えると。これは非常に気持ちいいということで、皆さんもそうだと思うんですけれども、速いパソコンを一遍使い始めますと、遅いパソコンというのはみんな使わなくなるんですね、どうしても。というようなことで、これも百聞は一見にしかずでそういうことが起きてきた。 ゲームもいろんなゲームがありまして、花札、マージャン、何でもござれでありまして、別に賞金が出たりしないんですけれども、一人一人、みんなニックネームとかそういうのを持っていて、何か名誉を競う。あいつが何かハイスコアを上げたとか。僕の友達で韓国で初めてインターネットのプロバイダーを始めた人間がいるんですけれども、去年会ったら、うちの母親が、もう七十近い母親がインターネットを始めたと。メールなんかやらないんだよねって、トランプばっかりやっているというんで、何か町のマージャン、雀荘に通うみたいな感じなんですけれども、主婦の暇つぶしも含めて。でも、必ずおしゃべり、チャットというのが一緒になっていまして、何となく世間話をしながらやるということで、中国でも町のゲームセンターへ行きましたけれども、やっぱり高速系と低速系と二つあって、高速系の方が料金高いんで、そっちは満員で、低速系はそうでもなくて、マージャンをやったりとかそういうことも起き始めています。 ゲームなんかでって皆さんばかにされるかもしれないけれども、これをばかにしたかしないかが韓国のある意味で分かれ目でありまして、韓国の文部省が最初のころに、青少年が町で夜も遅くまでゲームセンター、つるんでいるのはけしからぬから規制しようということを言ったんですけれども、情報通信部が、いや、そういう必要はない、彼らの中から新しいIT化が進んでコンピューターが少なくとも使えるようになるのはいいことじゃないかということを金大中含めて言ったわけでありまして、規制しなかった。そうしますと、こういうふうにどこでもネットワーク状態で国じゅうにあふれているわけですけれども、どんどん普及していった。 私の考えでは、少なくとも韓国の場合は、国の政策は原動力にはならなかった。今、情報通信部へ行きますと、省と書いてあります、部ですね、違います。我々は、サイバー・コリア21というのがあって、自分たちの政策の正しさが証明された、すごいだろうということを、多分皆さんが訪問されてもおっしゃると思います。私が九八年ごろに、ここ数年間で七、八回行っているんですけれども、会ったときの説明というのは、いや、どうしてこうなったかよく分からない、だれもそんなこと計画しなかった、偶然が起きたので説明はできないということで、今日持ってきませんでしたけれども、私がおととし書いた「アジアからのネット革命」という本に詳しく書きましたけれども、その原稿を韓国の人たちに見せたら、うん、大体そうかなという感じですけれども。 もちろん、通信への競争導入とかベンチャー育成とか、そういう政策もありましたけれども、例えば実態でいいますと、九四年からKII、コリア・インフォメーション・インフラストラクチャーということで、アメリカのゴアの向こうを張って、NIIの向こうを張って、情報インフラをどんどん作るんだということで、かなり国も優遇策を出して、投資をして国じゅうにファイバーとか引っ張り回したんですけれども、そこへやってきたのが経済危機で、想定していた需要が消えちゃったわけですね、言わば。設備は打ったけれども、お客さんはいない。そこへ競争を入れたものですから、何が起きるかと、価格破壊で、先ほどのPC房の専用線、インターネットの高速の線というのを非常に安く買ってくれという形で入っていって、家賃よりずっと通信回線の方が安いというようなことになりまして、そういう要素で、言わばある意味では政策的なエラーといいますか、あるいは危機が来たことがむしろプラスになったということで、一番大きいのは、経済危機による危機感、もう自分たちはやっていけなくなるんじゃないかということを、ずっと日本を追い越せ追い付けで来て、うまくいったと思っていたのが突然やっぱりそうじゃなかったということで、挫折したわけですね、あるいは自信を失った。 その中から立ち上がっていく中で、とにかく自分たちは何とかしてこの危機を乗り越えていかなければならない。たまたまPC房が当たったわけですけれども、そうすると、彼らは早いネットがいいなということで家にも欲しいと。たまたま韓国の人は、大体人口の四割以上が高島平みたいな団地に住んでいます。たまたまそこの電話設備は韓国電話会社のものではなくて、団地のディベロッパーか住民たちのものである。そうすると、ADSLという高速のインターネットの線を普通の電話線を使って引くんですけれども、そのときに韓国テレコムの、コリア・テレコムの許可が要らない。日本の場合には、総務省さんが大分いろいろやって、嫌がるNTTにちゃんと回線開放をしろ、相互接続をしろということを全部作って行政指導をやって、訴訟が起きて、やっとみんなが入れるようになっていったわけで、その先鞭を着けたのがヤフーBBですけれども、ヤフーも韓国の実例はよく知っています、孫さんも含めて。韓国は、コリア・テレコムは嫌だと言っていたんですけれども、自分のものじゃないものをつなぐなと言えないわけですから、いつの間にかどんどんハナロとかスルーネットという新しい会社につながれて、ある意味で仕方がなくてコリア・テレコムも始めて、最初のうちは全然やる気なかったんですけれども、やってみたら意外と、これは少なくとも負けるよりはいいということで、今は完全にコリア・テレコムがシェアを握っておりますけれども、そういうようなことが起きている。 ゲームのほかに、最近はちょっと有料化も始まっていますけれども、KBSとかSBSとか、全部の放送局の全部の番組がインターネットでただで見れたことがずっとありまして、それからポルノがかなりはやった。先ほど申し上げた株も、個人のオンライン取引が、インターネットが全体の取引の半分以上ということで、機関投資家よりも個人投資家の利用が非常に高いと。ただし、先ほど申し上げたように、その裏にはやはり、もう英語とインターネットが使えなければ食っていけないと親たちは思って、子供たちにどんどんやる。ですから、隣の家がインターネットを入れていれば、自分ちも入れる、ブロードバンド入ったらブロードバンドは入れる。宿題が出てきますから、片付けるためにはやっぱりネット使わなきゃならないというようなことはもう当然であります。英語もそうですね。最近の、ですから韓国の人は物すごく英語がうまくなっていますね。 それから、政治家もネットで評価が決まるということで、例の落選運動のときも、あれインターネット使って相当積極的に市民運動の人たちがこの政治家はけしからぬということを流していったわけで、止めようがなかった。今度の、御存じだと思いますけれども、盧武鉉の場合でも、最初は与党の中でもそれほどランク高くなかったのが、ネティズンたち、韓国ではネティズンというのはごく日常用語になっていますけれども、彼らの支持、二十代、三十代の若者たちが支持をして、勝手連というよりももう少しうまくオーガナイズをして、資金も集まりいつの間にかトップに躍り出て勝っちゃったわけですけれども。 逆に言いますと、六割の普及率があるということは、テレビの視聴率とは言いませんけれども、皆さんですと多分テレビに出て何を言うかということが一番ある意味では影響力、もちろん選挙区で、参議院の方はそうでもないのかな、よく分かりませんけれども、選挙区でのお話も大事だと思うんですけれども、お付き合いも大事だと思うんですけれども、テレビで少なくともマイナスされたら非常にまずいでしょうし、やっぱりいいこと言っていれば反応が高いと思うんですけれども、その有権者がテレビよりインターネット見ていたらどうしますかと。 ある意味では、韓国は議論型の掲示板とかそういうところは非常にはやっていまして、市民が自分でどんどん議論をするという。これはまだ初めて民主選挙を行ってから十年しかたっていない国ですから、その前は牢屋にぶち込まれるか殺されるかという時代、少なくとも好きなことが言えなかったわけですから、ちょうどパソコン通信からインターネットが登場してきたときに、韓国の場合には、それが言論の自由あるいは政治活動の自由と言わば結び付いた。そういう意味では、必ずしも韓国の例が世界じゅうに適用されるかとか、あるいは日本にそのまま来るかというのは分かりませんけれども、しかしみんなが使うようになってメディアとしての影響力を持っているとすれば無視をできないということで、閣僚候補千人ぐらいもインターネットで盧武鉉さんは募集したと言っていますし、またそういう姿勢を示すことが非常に重要であると。 もう一つ、最後に、パリパリという、韓国語で、僕もよく知らないんですけれども、急げ急げとか早く早くという意味で、彼らは何でもすごく忙しいというか急ぐということで、食堂でも料理出てくるのを待てないとかというんでブロードバンドもどんどん入れちゃったという、そういう話もあるかもしれません。 対比的に言いますと、そうやって韓国でできていることがどうして日本じゃできないんだろうか。いろんな理由があると思うんですけれども、少なくとも、先ほど佐賀先生も最後に言われましたけれども、韓国の場合には基本的には社会改革というのを進める、そこに電子政府とかインターネットの利用というのも組み合わせるということで、前ソウル市長がソウルの市政改革をするときに電子政府というのを入れて民願システムというのを導入していますけれども、住民が例えば建築許可を取るとかいろんなことをするときに、申請がもちろんインターネットでできるだけじゃなくて、他人がどこまで申請しているかというのをチェックすることができるとか、あるいは自分の申請が今、委員会のどこまで行ったかということのチェックができるということで、返事が四十八時間以内にしなければいけないとか、そういうことで市政改革団の団長の人が電子政府の、ソウル市の電子政府の担当者をしております。その積極的に進めた人が総理大臣に今度なったというような状況の違いがあると思います。 皆さんの中で随分いらっしゃっている方多いと思うんですけれども、私は是非行って、百聞は一見にしかずで見て経験されることを韓国との関係ではお願いしたいと思いますし、それが日本、韓国だけじゃなくて、今ですと香港とか上海とか台湾にも非常に大きな韓国効果とでも言えるようなことを言えるのかなと。去年も香港、上海へ行きましたけれども、すごく人気があるんですね、韓国のテレビとか音楽とかドラマ。政府が結構補助金を、実は韓国政府のコンテンツ戦略があるという説もありますけれども、それだけでは説明できない。この間、リバイバルやっていた「おしん」みたいな人気ドラマが随分出てきているわけで、共感を呼んでいるわけですね。 それが、よく見ればゲームとかアニメとかDVDとかカラオケとかプリクラとか、そういうものは日本とか韓国とか台湾とか香港ですごくはやっている共通のものがあるような気がしまして、恐らくこういった文化性というかあるいはビジネスというのは、必ずしもハリウッドにこだわらずに、日中韓あるいは東南アジアも含めて生まれてくるんじゃないか。ですから、それは必ずしも政策というよりもマーケットあるいは市民たちの声に動きが同調してくるんじゃないかというような気がしていまして、それが今後の東アジアの大きな流れになるかもしれない。 これに比べますと、私も行っていたマレーシアとかシンガポールというのは若干、熱心にはやっているんですけれども、今壁にぶつかっているかなという感じがありまして、特にマレーシアはマルチメディア・スーパーコリドールということで、特区というのを呼び掛けて、マハティールさんが九六年に言い出して、ところが九七年の経済危機でかなり激しくストップせざるを得なくなって、私の記憶では、たしか沖縄のこのころ特区構想というので、マレーシアの通信特区みたいのを沖縄でも展開できないかなという議論をされて、前の知事さんがいらしたりしたのを覚えていますけれども、そういう大胆なビジョンを先に打ち出そうとした。ただし、製造業は強いんですけれども、ITは必ずしもまだ十分マレーシアは自分のものにはできていない。それから、電話会社が非常に問題が多いというようなことで幾つか問題点もあるんですけれども、少なくとも国力に比べれば頑張っているということで、原野の一角を切り開いて、この場合には首相府を先頭にして役所が全部今移動し始めていて、大学を作りということで、人材をつくり、日本からも若干の協力はしていますけれども、そういうプロジェクトが動いている。 これといつも競争しているのがシンガポールなんですけれども、ブロードバンドを実は世界初めて本格的に入れたのはシンガポール、九五年から六年に掛けてやったんですけれども、少し早過ぎたことと、それからインターネットの本質というのを十分よく分かっていなかったということで、従来型のメディアに近い形で仕掛けたものですから、必ずしも需要が付いてこなかったということで、シンガポールでは政府の批判をすると罰金とかいうことで、なかなかシンガポールの人は本音で言ってくれないんですけれども、かなり問題は多かったと思います。 そういう英語のペーパーを書いてシンガポールの人にも送ったんですけれども、この前、そしたら役所の人が、おまえのペーパーすっごい評判悪いんだよね、というか、おまえ評判悪いんだよね、来てくれと言われまして、特区だけは是非話を聞きたいということで、来いということを言われておりますけれども、やっぱりうまくいった例だけで見ていちゃいけないわけであります。 それから、最後に二点ありまして、是非議論も御一緒にしたいと思うんですけれども、一つは、佐賀先生も言われたデジタルデバイド。本当に、それじゃ、貧しい国が世界じゅうにあって、世界の七人に一人が飢えているというときに、沖縄サミットでぶち上げたのは、一つは、このままいくと更に格差が拡大してしまう、IT革命でニューエコノミー、インフレなき成長で、アメリカを先頭にして、富める国は富めるようになる、じゃ、そのデジタルデバイドの反対はどうなるんだ、それでいいのかということがあります。 もう一つは、上手にITを応用すれば貧しい国でも、韓国も、ある意味ではその経済水準に比べればIT化が進んで、その結果、今IT産業、サムソンを先頭にして非常に調子がいいわけですけれども、そういったことを途上国でも何とかできないだろうか。ある意味では、少なくとも設備投資ベースでいうと、半導体の工場を造ったり、車の工場を造ったり、化学プラントを造るよりは、パソコンとインターネットを引く方がはるかに安く、はるかに大勢の人に直接手に触れる手段を提供することができる。 ただし、それでもって、これはよくJICAとかJBICさんなんかとの議論にもなる、あるいは外務省さんとの議論にもなるんですけれども、じゃ本当に水や健康もままならないようなところにパソコンなんて、そんなのぜいたくじゃないかとかいうことをよく言われるんです。我々も、必ずしもストレートにインターネットを普及させればみんながすぐ貧しさを脱却できるとは、少なくとも短期間では言えない。 しかし、日本でも、人材あるいは教育が充実していたからここまで成長してきたということが言えるとするならば、あるいは国づくりを進めようとしたときに必ず必要になるのは、いわゆる専門職、例えば学校の先生であったり、医者であったり、看護婦であったり、様々なエンジニアであったりというような人たちが、今一番安く先端の技術を身に付けたり、あるいは現場で使えるようにするためには、ネットワークにつながっているということは非常に重要かなと。 アジアの各地に参りますと、電話回線が必ずしも十分になくても、パソコンがなくても、これはネパールのポカラなんですけれども、インターネットのお店が一杯ありまして、電話一本で、パソコン一台で、みんなで順番に使っている。考えてみれば、自宅のリビングルームに電話とパソコンを置いておいたって、みんな外に働きに行くわけですから、使える時間なんて限られているわけですけれども、それに比べれば、町じゅうの人たちが共有することによって、テレセンターとかコミュニティーアクセスというふうによく言われていますけれども、みんなでこれを使い回す。 最初、これは観光客向けにやっていたんですけれども、ホテルが外国人観光客を、一日二十ドルで売るときに、代理店に、少なくとも日本やヨーロッパの代理店にそんな手数料二十ドルの中から渡したら残らなくなっちゃうわけですから、インターネットでウエブを作れば、ほとんどお金掛からなくてお客さんを集めたりする、予約を取ったりすることができると。 その後、チモールに、東チモールに参りまして、これ、国連で担当している人間がどうしても来いというんで、ちょうどあの百五十億ドルをぶち上げたころだったんですけれども、その直後に行ってきました。 ところが、なかなかこれは難しい問題があって、もう電話回線も完全に破壊されて、ひどい状況だったんですけれども、その中でも、飛び地がありまして、西の方、ヘリコプターに乗せられて、誓約書を書かされて、飛び地の先まで行ったんですけれども。そうすると、現地の人がインターネットを使っている、これは公共交通機関も何にもないところですけれども。ということで、外務省の方は、いや、会津さん、まだインターネットとかパソコンはチモールではぜいたくである、早過ぎると言って、必要ないと。そういうプロジェクトやる必要はないということだったし、国連でもなかなかうまく通らなかったんです。行ってみると、みんな使っているわけであります。 これをどう考えるのかということで、そういったことを含めて包括的に、沖縄サミットの後にG8ドット・フォースというのができて、我々も、その中でGLOCOMとして、非営利法人、NPOの代表で付き合えということで、随分議論をしました。 それから、カンボジアにも行って、左は大使館で、大使とお会いしたんですけれども、経済的なこと以前に、カンボジアの文字であるクメール文字というのがカンボジア人が全然いないうちにいわゆる技術標準を決めちゃったもので、非常に使いにくいものができて、一遍作ったらもう変えられないということで、これもさんざんもめたんですけれども。 こういうときに、やっぱり経済的な問題だけじゃなくて、いわゆる知的分野といいますか、技術分野とかそういうところでの途上国の意見とか声というのが入らないと、先にゲームのルールを決められちゃ、例えば電子商取引とかもそうですしポルノの規制とかもそうなんですけれども、先進国側のルールだけでいろんな枠組みを作っておいて後からおいでとやると、間に合わなくなってしまう、あるいはうまく合わないので、そういったところにも注目すべきじゃないかということを我々はドット・フォースの中で随分訴えてまいりました。 ただし、もう時間がないのであと議論にしようと思いますが、あの百五十億ドルは何だったのかということをどこへ行っても聞かれます。当時から聞かれたんです、どうやってもらえるかというのから始まって。これに対して、少なくとも皆さんを満足させるようなお答えが出ているとは思えませんし、大変申し訳ないんですが、我が国の体制は無責任であるというふうに私も思っていますが、そう思っている声は強いです、なかなか言わない人は多いですけれども。 それで、産業界も今の景気ですからほとんど、お金が入ってくる方はいいかもしれませんが、お金にならない。それから、IT分野での日本の競争力というのは大変低いですから、そういう意味では、こういったことにコミットしようとしないということで、花火は打ち上がったんですけれども、今、じゃ何が本当に行われているのかということで見ますと非常に問題は大きいというふうに思います。 欧米政府その他からも、ああいう数字だけ出されちゃって自分たちが十億ドル出すと言っても全然相手にされないと。だけれども、実際には、今になって、じゃ日本政府は何をしてくれているのというときには、もちろん外務省から御説明あると思うんですけれども、少なくとも現場の実感としては非常に数字は目に見えないというふうに言われております。 唯一の成果と言われているのがマルチステークホルダー。NPOも一緒に入って、国や政府と、あるいは民間と一緒にいろんな議論をしたということは我々もそれを実感として感じましたし、そういう機会を与えてくれたことには感謝しているんですけれども、実際の実行ベースではその資金的なコミット、根拠がほとんどないままに進められているものですから、それに対する不満、批判はかなりございます。 そういったことを含めて、最後に、グローバルガバナンスということで、添付資料の方に随分書いたものをお渡ししていますので詳しい御説明は省略しますけれども、今までですと、ITUとか、いわゆる国際組織が、国連の条約機関、WTOとかそういうところを含めて決められている議論が多かったんですけれども、最近はもうインターネットの世界でいいますと、そういう国対国で約束を作って基準を決めていくということが非常にしにくくなっている。 電子メールは国境をどんどん越えちゃいますし、技術者もそういうことこだわらないということで、ICANNとかIETFとかW3Cとか、ちょっと舌をかみそうな名前の組織が幾つもできていまして、こういうところが、皆さんが使っている電子メールの何とか何とかアットドットjpとかドットコムとかというのはどうやってルールを決めるかとか、そういうことのルール作りをやっている、あるいは実際の管理をしているということでありまして、日本からの参加もないわけじゃないんですけれども足りないですし、途上国からの参加は非常に少ない。どうやってこういうところで決めるのか。一国一票では必ずしもうまくいきませんし、そうかといって、お金を出しているところが、マイクロソフトがすべてを牛耳れるのかというとそうもいかない。 ということで、最後に、世界情報社会サミットというのが今年の十二月にジュネーブで開かれると。これは、政府は一生懸命かなりまあまあやっているんですけれども、議員さんが非常に少なくて、最近になってパーラメンタリアンということで、市民社会の一つのセクターに、二十一あるうちの一つにパーラメンタリアンというのを入れようということが決まったんですけれども、それでいいのかなというふうに思います。これは国連がやるサミットで、是非皆さんの中からももっと御関心を持っていただきたいと思うんですけれども。 やっぱりデジタルデバイドをどうするかということが一つの動機になっていまして、情報社会が登場するときのあらゆる問題を議論しようということであります。ただし、先ほど佐賀先生もちょっと言われたように、今年の一月に、この間、東京でアジア太平洋の地域会合、総務省さん、外務省さんがホストとしてやったんですけれども、台湾のNGOを認めるかどうかで大もめにもめました、私も直接そこ巻き込まれましたが。そうはいいながら、実質的にはNGOが非常に前向きに参加をできた、日本政府もそれを許したということで、海外からは非常に高い評価を受けております。 そういったことを含めて、本当にやはりリーダーシップを取ってほしいというのは、アジアの各国から特にITの分野でもあるんですけれども、それだけの体制ができているんだろうか。やっぱりそれだけの人材が日本の側にいるのかというようなことでいいますと、私は非常に悲観的に考えております。 東チモール、それからカンボジアへも行きましたけれども、悪く言いますと、アメリカが爆弾を落とすと後からインターネット引きに行かなきゃいけないんですね。コソボでもそうでした。そのときに、国連の枠組みでも、国連の自分たちのインターネットは引くんですけれども、先ほど申し上げました復興支援とか国づくりということになるとそういう枠組みがなかなかなくて、外務省さんもやっと最近アフガニスタン、地雷撤去とそれから非武装化というプロジェクトの中に何とかインターネットも入れられないかということをやっています。 アフガニスタンの通信大臣も一月に来られて、僕もいろいろ議論しましたけれども、国際社会でもやっぱりそこまでなかなか手が回らない。次これ、イラク終わればイラクでもインターネットを作り直さなきゃならないし、北朝鮮だってどうするかという問題があるので、こういったことを、後から悲劇を繰り返させるんじゃなくて、もっと率先して、先取りした形でのプロジェクトをやるということが必要かなというふうに思います。そういうことをきちっとやることが我が日本の国益を実現することにもつながるんじゃないかと思います。 ちょっと時間は過ぎたようでございますので、舌足らずですが、私のお話はこのぐらいにしたいと思います。 ○会長(関谷勝嗣君)ありがとうございました。これより質疑を行います。 本日も、あらかじめ質疑者を定めず、質疑応答を行います。 質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。 それでは、まず野上浩太郎君。 ■野上浩太郎時間もちょっとありませんので、簡潔に両参考人に一点ずつお聞きをさせていただきたいと思います。まず、佐賀参考人お願いしたいんですが、当調査会では、東アジアに焦点を当てまして、いろんな切り口で東アジアの将来についての議論をしてきたんですが、その中でやはり多い議論としては、FTAを始めとした要は広域経済圏をどういうふうに形作っていくのかというような議論が非常に多いんですが、その中でいわゆる電子商取引が、これを進めていくためには多分その共通のプラットホームというものを作っていかなきゃいけないと思うんですね。 その中には、例えば返品する、ネットで買ったものを返品するにはどういうルールがあるのかから始まって、商取引のその文化自体も全然違うわけですから、いろんな課題なり可能性があると思うんですが、先ほど電子政府というのも一つの道具だよと。なるほどと思ったんですが、そのほかにも電子商取引についてどのような課題、可能性があるのかという部分をちょっとお聞かせをいただきたいと思います。 それから、会津参考人には、これは非常に根本的な話で、また漠然とした話なんですが、先ほど世耕議員からもアジアは連携して何を目指すべきかという根本的な話があったんですが、今この日本のいろんな情報戦略を見る中で、いろんな提言もありますしいろんな会合もありますし、情報はあふれていると思うんですね。その方向性の示されているものはあふれていると思うんですが、じゃ本当にその底流といいますか、に流れているインセンティブというか原動力というか、例えばお話の中で韓国は社会改革に絡めてインターネットなりあるいはブロードバンドの拡大があったと。しかも、それは実は余り意識していない中で進んでいたというお話もございますし、一方アメリカは、非常にマイクロソフトを始めとしたああいう世界戦略の中でやっていると。日本は、いろんな総花的な話はあるんですが、強烈なインセンティブといいますか原動力というものがなかなか私自身もちょっと見付からない状況が、感じがしておりまして、そうしますと、今の世界潮流から取り残される危険性ですとかをちょっと感じてしまうんですけれども、いわゆるどういうインセンティブなり原動力なりというものを考えていけばいいのか、非常に感想的なもので結構なんですが、お聞かせいただければと思います。 ○参考人(佐賀健二君)それでは、FTAに絡んで電子商取引の問題、お答えします。FTAをそれぞれ拡大していくということも非常に重要ですが、私は、例えばASEANとの、ASEAN十か国との間で緩やかな枠組み協定みたいなものができれば、バイラテラルを駄目よと、やめろというんじゃないんです、大きな枠組み協定を結んでバイラテラルも並行で走らせるという、この立体的な組合せが最も望ましい姿ではないかと、こう思っております。 電子商取引に絞れば、e―ASEANフレームワークアグリーメントの中では、ASEAN十か国の中で電子商取引を推進するための基本的な考えは既に一致して、プロジェクトとして走ろうとしていますし、より広い立場でいいますと、e―APECがe―APECストラテジーに基づいて、このe―APECの中身は、今日お配りした資料の中にe―APEC戦略の内容紹介を含め、私のコメントを含めて書いておりますから、参照していただいたらいいと思うんですが、今非常にたくさんの具体的なテーマでAPECの中で議論が進んでおります。 特に、APECの電気通信情報ワーキンググループは非常に熱心にこの議論を進めております。もう個別具体的に、例えば共通の電子認証をどうするとか、パブリックキーインフラストラクチャーどうするとか、電子商取引の基本的インフラとして必要なものをどうAPEC全体の中で広げていくかという議論がもう非常に熱心に進められております。先週も、まず三日間の電気通信情報ワーキンググループの前に二日間のセミナーを開いて、お互いに議論を深めて、そして本会議の中でそれを承認していくというような形で、非常に熱心な議論が進んでいるということを御紹介をしておきたいと思います。 一つだけ、沖縄のことで追加してよろしいでしょうか。 私、昨年も今年も沖縄へ参りました。県庁の方ともお話をいたしました。これは、インドネシアの政府の国家IT戦略のときも申し上げたんですけれども、よそからの提言だけをああそうですかと受け入れるんじゃなくて、自分たちの計画を作らないと、例えばインドネシア、インドネシアの政府の皆さんには、皆さんの計画ですよ、皆さんが自分で作らないと、人から言われたものをはいはいといって受け入れるだけでは皆さんの計画にならないと。皆さんが自分で作った自分の計画だと思わないと本当に国家IT戦略になり得ないですよと、こういうふうに、若干、そのときその場に列席していたアメリカのUSAIDの人とか世界銀行の人に若干皮肉も含めてそう強調したんです。 私はそう信じているわけですね。もう世界銀行もUSAIDも一杯提案しているんですね。日本も提案しました。だけれども、私らの提案は参考ですよと、あくまで決めるのは皆さんだと。そして、皆さんが自分の計画にしない限り皆さんの国家IT戦略は成功しませんよと、こう申し上げましたが、同じことが沖縄にも言えると思います。 沖縄の皆さんが自分の、自分たちの頭で考え、沖縄のためにどう絵を描くかということを是非やってほしいと、こう沖縄へ私は行くたびに皆さんに申し上げておりますが、最近、沖縄の中でそういう動きが少しずつ盛り上がってきて、熱心にそのことを真剣に議論している人たちが沖縄の中にいることは、私、知っております。したがって、その動きを是非盛り上げて、助長していただきたいなと思います。 以上です。 ○参考人(会津泉君)何かちょっとお答えしにくい質問なんですけれども、私がそんなことをお答えしていいのかなと思うんですが、僕、サッカーが好きなものですからワールドカップを見に行ったりしていましたけれども、別に日本チームだけ応援しているわけでは必ずしもないんですけれども。Jリーグができたのが九三年ですか、あのとき百年計画というのを作って、たしか準備してやっていたんですね。我が国の百年計画はどこにあるのかなと。やっぱりあのときは、たしかすべての町あるいは学校に芝のフィールドを作って、やっぱりサッカーを、まあそれがサッカーをしない人にとってはどうでもいいことなのかもしれないんですけれども、一つのそういうビジョンというか、結構現実的にもそういうことを考えているわけですが。 やっぱり、そういうこととの関連で、インセンティブとか原動力ということでいいますと、やっぱり基本的には若者をどうすんねんということだと思うんですね。もう皆さんの中にも私よりお若い方も少しはいらっしゃるし、かなりの方はそうじゃないんですけれども、もう僕らはそろそろ引退というと怒られるけれども、引退に近いことで、特にITの議論をしているのに、二十代が本当は中心のはずなんで、私も五十過ぎていますので聞く方に回らなきゃいけないと思っています。とすると、次世代をどうするのかは次世代の人たちと一緒に考える、ないしは彼らが考えるような仕組みを作ることが大事かなと。 現に、韓国、中国、実は国の中心の世代の人たちも相当若いですね。やっぱり、ある一説によると、政府やあるいは党の中でもどんどんIT化を進めて、それに付いてこないと、もう付いてこれないようにしてしまったんだという説も中国や韓国で聞くぐらいで、本当かどうかはよく分かりませんけれども、そこに何らかの真実はあるかなというわけで。ただ、それを百年先まで含めてどうするかを本当に考えるのが口幅ったいようですが本当の政治家であり我々が投票したい人でありますし、あるいは戦略家ないし思想家という人で、そういう理念の下で政党とか政党政治というのはあってほしいと思うんで、それは大変口幅ったいんですけれども、私の今の政治への不満でもありますけれども、どの党であっても何となくそこは、書いていないとは言いませんけれども、本当にこれ本気でやるつもりなのということに関して、どうしても一緒に苦労したいなと思えないものがあると。 反対に、例えば佐賀先生がおっしゃっていましたけれども、国連のUNDPとか世界銀行とか、IT化のアジアのプログラムというのをいろいろやっていますけれども、現場には、実は日本人の若者で努力している、あるいは働いている連中、結構いるんですね。ブータンのインターネットのプロジェクトでも、日本から専門家が何人か行って、プラス僕の知り合いのニューヨークにいた女の子、三十幾つですけれども、女の子なんて言ったら怒られますけれども、行って、現地のブータン人と結婚して、今度はエチオピアのIT化をやっています。それから、モンゴルにもいますし、この間ラオスにも、JICAの職員、じゃなかった、共通しているのはみんな正職員じゃないんですよね、委託とか何か短期契約とかであって、そこに何かある種の示唆的なものがあると思うんですけれども。 だから、組織の正規部隊はまだ動けなくて、やっぱり個人的に志を持っていたり、あるいはそういう思いを持っている人間は、日本人であろうが何人であろうが関係なく仕事しているわけで、やっぱりそこをもうちょっと僕らは考えていく、あるいはそういう中に多分知恵が入っていると思うんで、彼らを含めて次世代というか、次を考えていくというのが我々の仕事なんじゃないかと思います。
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